【刀×医パロ(🍯🌰)】㉕鍔際(中)父は僕と伽羅ちゃんを見つめたまま、いつも以上に落ち着き払って、淡々と回顧を始めた。
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相州という男は私の理想だった。
私と彼は刀医の同期で、1年の時から何をするのも一緒、ずっといい級友だった。私は二世医者で親の七光りという感じだったから、常に自らの意思があって邁進する彼がとても眩しかった。
彼は熱心で研究も好きだったし、臨床では脳をやりたいと言って外科医になった。
私もそれは面白いと思って一緒になってやってたら、いつの間にか神経内科医になっていたよ。
当時は臨床研修医制度もなくて、卒後に入局したらそれっきりだったから、私も相州も若手で入局したての頃はそれこそ馬車馬のように働いた。
そのうち相州は論文をよく書くようになり、海外の学術誌にも掲載され、脳波計の開発で産学の橋渡しをするようになった。
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