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    えんどう

    DONE▽2部突入前の話
    ▽ぐだおが王様の動画を見る話
    逢いたい▽2部突入前、王様を再召喚していない頃の話
    ▽王様はいません
    ▽ぐだキャスギル




     端末のホーム画面に、似たようなアイコンが並んでいて、間違えて開いただけだった。そうしたら、サムネイルにあの人が写っていた。それで何となく開いた。それだけのことだった。
     モニターに接続して大きめの画面に映しだされるのは何気ない横顔に、こちらに気づいて不愉快そうにする顔、ベッドに寝転がって真剣な表情で書類や端末を見ている表情、何もすることがなくゴロゴロしているだけの姿、眠っている顔、寝起きのぼんやりした顔、などなど、などなど……。当たり前にあった日常の数々を収めた写真達だった。中には溶岩水泳部に半ば無理やり撮られた五人の写真、食堂のテーブルに並んだいつもより豪華な食事をみんなでわいのわいのしている様子を撮ったものもあった。ゲオルギウスがカメラで撮ったたくさんの写真達はあの時の騒ぎでおそらく失われてしまっただろうが、持ち出したこの端末には比較的個人的ではあるが写真が残っていた。カメラに気づいて手を伸ばしてくる写真、イシュタルと戯れている写真、無理を言って二人で撮った写真、ほとんどがあの人の写真だった。玉体に見惚れたか、と自慢する割に写真に残されるのは何故か嫌がった王の写真は隠し撮りに近くて、ほとんどがカメラを向いていない。懐かしさと同時に幾許かの寂しさを覚えてカメラロールを閉じる。
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    えんどう

    DONE▽王様の生身に触りたかったぐだおの話
    王様の生身に触りたかったぐだおの話▽七章の時に触っておけばよかったな〜という話
    ▽ぐだキャスギル





     出逢ったのは、四千年以上前のメソポタミア文明の頃、ウルクという国だった。初めて見た彼の王は玉座で一秒の隙もなく責務をこなし、強引な魔術師の手引きがなければ話すらできなかっただろう。しかし事情を説明する間も惜しんで手合わせをさせられ、〝まだ早い〟と断ぜられた。その上で以降はやはり協力は一蹴され、不要と拒絶されると同時に役に立ちたければ相応の功績を上げよと言われ、祭祀長に一任させる形で謁見は終了した。途中愉快な女神の乱入で王と共に戦うというその時点ではあり得ない出来事もあったが、その後祭祀長の手を借りて地道に〝功績〟を上げ続け報告をし続け、あれ程頑なだった王の気を引くようになり、王は道ゆきに同行するまでになり、王自らがうっかり死亡した際には助けに来ることを予見されるほどの信用を得、共に戦う事はないと最初に断ぜられたにも関わらず共に戦い、立香を庇う形で致命傷を負い、自らを囮として命を落とした。更には幽体で最終決戦の手助けもされ、その後、生死の概念があやふやである神代に於いてでももう生き返らぬ事を言外に教えられ、戦いの終結を告げて王は逝ってしまった。逝ってしまったのだ。完全に。身体を失い、もう二度と、手の届かぬところへ逝ってしまった。生死があやふやな世界であったからこそ、立香は当たり前のようにまたあの賢王に逢えるのだと思っていたのかもしれない。だが、ギルガメッシュが自らを使い、ティアマトを罠に嵌めたあの時と同じように自分の手は届かなかった、届かぬところへ逝ってしまったと理解したのは、少し遅れてからだったように思う。ウルクでの暮らしは確かに楽しいものであった。あの激戦を経ても尚、あの国は良い国だった。同時に、出逢ったすべての者に対しても、なんの悔いもないと思えるくらい、楽しかったのだ。それを告げた時、王は非常に満足気であり、誇らしげだった。最大の財宝であろう聖杯を立香たちに与えるほどに。そして今生の別れをし、皆とも別れ、立香たちはカルデアへと帰還した。もうあの王には二度と逢えないのだ、という、事実だけが立香の中に残った。もう、二度と逢えないのだ。もう、二度と。英霊として、サーヴァントとしてまた逢える可能性、というか既に全盛期と合わせて二人共いるのだが、その賢王に今回の記憶があるようには思えなかった。特
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