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    えんどう

    DONE▽年賀状であれこれ
    新年あけましておめでとうございます。▽年賀状出したりもらったりしてるぐだおとそれが気になる王様の話
    ▽ぐだキャスギル




     雑種は我の物なのだから、雑種の物も我のものであろう?というジャイアニズムにより、立香の自室を塒にしているギルガメッシュは、立香が先程から真剣に紙面に向かっている背中を眺めていた。本日の種火集めが終わり、自室に戻ってきた立香は大小の紙束を持っており、机にそれらを広げては小さい方と大きい方をずっと見比べているのだ。ギルガメッシュに向けられたのは、部屋へ戻ってきた最初の「ただいま」という言葉のみで、後はずっと紙を見ている。
    「貴様、先程から何をしているのだ」
    「んー、当選ハガキがないかと思って」
    「とうせんはがき…?」
     聞いたことのない言葉をそのまま繰り返してみるが、立香はギルガメッシュの疑問に気づいた様子もなく、紙面から目を逸らそうともしない。それが何故だかギルガメッシュの神経を逆撫でした。この我が言葉をかけてやっているのに、振り向きもしないとは何事か。ギルガメッシュはベッドから起き上がり、立香の側まで歩き、おもむろに立香の耳を遠慮なしに引っ張り上げた。鋭い黄金をまとった側の手でないことはささやかな手加減だろうか。
    2033

    えんどう

    DONE▽ちょっといかがわしい話
    聖なるかな▽ちょっといかがわしい
    ▽ぐだキャスギル






    「ギルガメッシュ王」
     ベッドへ仰向けに横たわり、スタッフから巻き上げたらしい書類を見つめている王を呼ぶ。返事はなく、けれど薄い金に縁取られた紅玉のような瞳がベッドサイドの立香を捉えた。それもすぐに逸らされ、元の位置に戻る視線に幾許かの寂しさを覚えながらベッドへ腰掛ける。書類に視線を落とすギルガメッシュの両の目許には金色の睫毛が影を落としていた。改めてまじまじとギルガメッシュを見つめる。陽を編んだような金の髪に、す、と通った鼻筋、薄っすら血色に色づいた形のいい薄い唇。黄金の装飾を解いているせいで露わになっている白い首筋、鎖骨、布地の少ない外套から覗く薄い胸元。花のような紋様の刻まれた鍛え上げられてはいるが細い腕に、それに似合う細く長い指、引き締まり細くくびれた腰から繋がる下肢。膝を立てているせいで赤い布がめくれ、すらりと長い脚が剥き出しになっている。髪の先から爪先まで完璧な、完成された芸術品のような半神半人の王。本来ならば自分のような人間が触れることすら赦されないのに、恋人同士のように睦みあうなど、改めて考えてみれば夢のような話である。
    1964

    えんどう

    DONE▽人理修復終わった頃のちょっといかがわしい話
    手を出してもらえない王様▽人理修復終わった頃の話
    ▽ちょっといかがわしい
    ▽ぐだキャスギル






     すべてが順調だった、とは言えないが立香たちの長いような短いような人理修復の旅は一応の終わりを見せた。人理焼却は破却され、人類史はこれからも存続する事が確定した。そんな久方振りに訪れた安寧の中で、ギルガメッシュは(立香の)自室にてその帰りを待っていた。出撃からの帰りを待っているのではない。単純に、立香が風呂から戻るのを待っている。
     人理修復後、カルデアのサーヴァントたちはお役御免とばかりに座へと帰還する者と、見た目だけならまだまだ頼りなく見える立香の行く末を案じカルデアに留まる事を選んだ者とに別れた。カルデアに残ったその誰もが立香を気にかけている者である事からも察するにあまりあるが、人理修復後の立香は引っ張りだこだった。やれ祝いだ宴だ飲み会だ酒だ呑めないなら飯だと連日連夜大騒ぎで、それに引きずり回された立香は自室に戻ってもただいまとおやすみなさいを言うだけですぐに泥のように眠ってしまうばかりで、せっかく想いが通じたのいうのに睦み合うなど夢のまた夢に思えた。
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