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    いちに

    yaki_kagen

    DONEてででサマイチに遭遇した③のはなし。
    *🐴ピアノが弾けます。
    ねこふんじゃった

     帰宅する人波が増える前の、一瞬の落ち着いた時間だった。駅を抜けていると、どこからかピアノの音がきこえてきた。緩やかに走り出したメロディは、次第に跳ねてテンポをあげる。低い音がタン、トンつまずきながら追いかける。これ、しってる。音の出所を追いかけて、三郎は青と緑の瞳でぐるりと周囲を観察した。どこだろう。ふらふらと足を進めて行くうちに、みっつのメロディはぶつかりあったように跳ねて止んでしまった。
     クツクツと声をひそめた笑い声が聞こえる。いつの間にたどり着いたのか、どこの路線にも繋がっている駅の中にぽっかりとできた広場に、一台のピアノがあった。それに触れる男の人が二人。弾いていたのは間違いなく彼らだろう。肩をぶつけあって、なにかを口にしては肩を震わせている。
     そのうちのひとりは、三郎もよく知っている一番目の兄だった。
     学生服を着て二の腕には赤いバンダナをつけている。この頃はなんだか折り合いが悪くて、顔を合わせることも、話をすることもなくなっていた時期だった。学校の帰りにきたのか、高校生が小学生と同じ時間に終わるのか、それともサボっているのか。いまの三郎には分からな 827

    yow

    MOURNINGアズ監♀ずっと書いてたけどイマイチになったやつの供養。捏造だらけなので注意してください。花は別に好きではなかった。特に生花は値段の割には長持ちさせるのが難しく、その上美しさを保つ為になにかと世話を焼かねばならない。一方的に鑑賞するだけなら悪くはないが……
    第一、どこぞの美意識の高い寮の様に花を愛でるような趣味をもつ輩はこの寮にはあまり居ないし、僕もその例外では無かったはずなのにどうしたものだろう。あれだけの賛辞と良い商談を送られたあとだと無下にするのは珍しく気が引けてしまったのだ。

    「支配人、今よろしいでしょうか確認して頂きたい所が……って、わぁ立派な花束ですね」

    監督生の声に振り向いたアズールの両手には、その腕に辛うじて収まるほど大きな花束が抱かれていた。顔を見上げれば頬を上気させて嬉しそうにも見えるが、困った様に顰められた眉によって悩ましげにも映る。若干の照れという年相応の初な反応に、ミスマッチな色気が相まって妖艶にも映るこの光景。色とりどりの美しい花。絵画のような一瞬に思わず息を止めて見入ってしまった。

    「……どうかなさいましたか」

    「い、いえ支配人はお花が良くお似合いだなって思って。綺麗で思わず見とれてしまいました」

    「……ッあなた本当に 4713