アマテ・ユズリハ
1326/きなりとい
DONE本物の空と海を知らないマチュ視点のSSです。CP要素はありません。「海を泳ぐ、魚のように」というシュウジの言葉から構想を得ました。
マチュがニャアンの届け物を、地球の歩き方にすり替えたのも参考にしています。
⚠️映画公開時に書いた作品です。
わたあめの海 今思えば、わたあめの中に入り込んだような、淡い色の世界だったと思う。
◇
ベージュ色の砂浜は、なめらかな触り心地で、一歩足を踏みいれた私を優しく包み込んでくれる。
頭の上に広がる青は、いくら目をこらしてみても建物の影は見えなくて、教科書で見たことのある「空」と同じ色をしていた。一部分だけ強い光源があるが、あれが「太陽」だろう。
目の前に広がる水源は、教科書で見た「海」の想像をはるかに超え、気が遠くなるほどの広さであった。電子音でしか聞いたことのなかった波の音からは、奥行きと強い生命力が感じられた。
「あの線のところが行き止まり?」私は海の奥に向かって指をさして言った。
「あれは地平線、だよ。マチュ」
1866◇
ベージュ色の砂浜は、なめらかな触り心地で、一歩足を踏みいれた私を優しく包み込んでくれる。
頭の上に広がる青は、いくら目をこらしてみても建物の影は見えなくて、教科書で見たことのある「空」と同じ色をしていた。一部分だけ強い光源があるが、あれが「太陽」だろう。
目の前に広がる水源は、教科書で見た「海」の想像をはるかに超え、気が遠くなるほどの広さであった。電子音でしか聞いたことのなかった波の音からは、奥行きと強い生命力が感じられた。
「あの線のところが行き止まり?」私は海の奥に向かって指をさして言った。
「あれは地平線、だよ。マチュ」
アライグマ
DONEアマテ・ユズリハさんに感じる危うさ、怖さのようなものをテーマに書いたSSです。フォロー役、聞き役に回るシュウジがいます。
見たいものを見て、書きたいものを書いています。
どれもこれも屑! 高架下。鮮やかなグラフティアートの前でアマテとシュウジは屯していた。
「……シュウジはさ、どうしてここに来たの?」
アマテは視線を迷わせながら、尋ねた。
シュウジはそばの壁面に迷いなくグラフティを描く。アマテは己の質問が聞き流されたのかと思って、不貞腐れてしゃがみ込んだ。
無言のまま何度か塗料を噴霧した後、シュウジはマイペースにアマテに振り返る。
「マチュはどうして僕の前に現れたの? どうして?」
遠大な疑問だ。
「わ、わかんないよ、そんなの……。シュウジもわかんないの?」
「わからない。ガンダムも何も言わない。わくわくするね」
渦中の少年は塗料の飛沫が飛んだ腕をぷらぷらさせながら、鼻歌を歌っていた。
1566「……シュウジはさ、どうしてここに来たの?」
アマテは視線を迷わせながら、尋ねた。
シュウジはそばの壁面に迷いなくグラフティを描く。アマテは己の質問が聞き流されたのかと思って、不貞腐れてしゃがみ込んだ。
無言のまま何度か塗料を噴霧した後、シュウジはマイペースにアマテに振り返る。
「マチュはどうして僕の前に現れたの? どうして?」
遠大な疑問だ。
「わ、わかんないよ、そんなの……。シュウジもわかんないの?」
「わからない。ガンダムも何も言わない。わくわくするね」
渦中の少年は塗料の飛沫が飛んだ腕をぷらぷらさせながら、鼻歌を歌っていた。