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    キル

    山椒魚

    DONE冰河は、それが当たり前の日常になってからは、師尊が起きる頃を見計らって朝食を準備したり出来るようになっていっただろうけれど、最初のうちは何よりも師の機嫌やら反応やらが気になってしまって側を離れられなかったんじゃないかなと。「この弟子に思うところがおありならば、すぐに口にしていただけるようその場にてお待ちせねば」くらいの気負いっぷりで。
    そんなことを思って書いた、まだ冰河の自信が薄かった頃の話です。
    早春 目を覚ました師は、しばらくぼんやりとしたお顔でこちらを眺めていらっしゃる。

     寝惚けているというよりも、記憶がうまく繋がらなくて緩慢に逡巡しているといった風情だ。
     はて?とでも言わんばかりに僅かに眉根を寄せ、斜め左上に瞳を動かした表情は、日頃の清廉風雅な面持ちとは相反した幼さをも感じさせる無防備なもので、無自覚な様子であるのがまた愛らしい。
     そう。師自身はお気付きではないようだが、ごくたまにこういった隙のある一瞬をお見せになるのが、この弟子としては嬉しいやら悩ましいやらトキメキが過ぎて具合悪くなるほどだけれど一周回って結局つまり嬉しいやら・・・・・・
     などと。
     無限ループしそうな気持ちにブレーキをかけつつも、思わず溢れてしまった笑みをそのままに俺が朝の挨拶をすると、師尊も返してくださろうと薄く唇を開き、そこで一瞬、眉を顰めた。
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    summeralley

    DONEバーテンダーPとマスター💅と客🍚の三角関係。ネイPシーン多めで飯P帰結予定です。

    ジキルのレシピ色々あるようですが、視覚的に綺麗な部分の良いとこ取りで書いてます。それに二層に分かれてて一気飲みするタイプのカクテルはマスター💅の店みたいなお上品バーでは出ないと思いますが、全ては、バー小説でなくてネイP飯P小説なので……🥹
    【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/04ジキル 今日の食事会は、本当に気分が悪かった。研究者の集まりというのは、高め合うことが出来る時もあれば、牽制と探り合いが渦巻く時もある。今日は、後者だった。
     そう飲まされたわけではなかったが、場の空気にあてられた僕はひどく苛立っていた。いつしかあの店のことを思い出し、足は勝手に表通りから一本入り込む。
     地面を睨みながら歩いていると、ビルとビルの間の暗闇から話し声が聞こえた。ちらと目線を向ければ、気の荒そうな男が、どうやら学生に絡んでいる。肩がぶつかったとか、なんとか、ろくでもない理由で……咄嗟に二人の間に入り込み、苛立ちそのままに雑に声をかけた。
     「もういいだろ、どっちも早く帰りなよ」
     絡まれていた学生は、間に僕が入ったことでこれ幸いと駆け出す。絡んでいた男は、矛先を僕に向けはじめた。当然の結果だろう。
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