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    ルチル

    新月朔

    DONEオー晶♀
    以前書いた『隙なんか作るわけないだろ』よりも前のお話。
    以前のお話を読まなくても、お読みいただける内容となっています。
    糖度は低め。
    ネロ、ラスティカ、ルチルが友だちとして登場します。
    その他モブも喋っています。
    なんでも許せる方のみ、ご覧くださいませ。
    あなたと仲良くなりたい「賢者様、今回もお疲れ様でした!」
    「こちら、賢者様のお好きなお飲み物です」
    「ありがとうございます。でも、皆さんのおかげで無事任務が完了したので、お礼を言わなければいけないのは私の方ですよ」

    穏やかな風が吹き、星がきらきらと輝く夜、私たちはとある町のお祭りに参加していた。
    先日、魔法舎にこの町から一通の手紙が届いた。内容は、最近この町の近くにある森で魔物が出るようになったので討伐して欲しいというものだった。
    厄災の影響を受けたであろう魔物は、ネロ、ラスティカ、ルチル、そしてオーエンのおかげで無事討伐成功。誰ひとり怪我をすることもなく任務は完了した。

    そのことに感激した町長さんが、私たちをもてなしたいということで、近々開催されるこの町の歴史ある祭りに是非参加していって欲しいという、嬉しいお言葉を頂き、今日私たちはこの町を訪れていた。
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    8kawa_8

    DONEルチレノです。
    【朗報】幼少期捏造、初恋の話です。
    ルチルがまだ17歳という設定。気が向いたら続きを書くかもしれないんですが、今のところ気が乗らなくなったので一旦キリの良いここまでで。
    【ルチレノ】まずは、お試しで。「レノさんあのね、おおきくなったら、レノさんにね……」
     およめさんになってほしいの、と。北の国の苛烈な大地で生まれ育った大魔女に、よく似た容姿の子どもが囁いた。きゃー! と悲鳴をあげながら頬に手を添える、丸々として柔らかい生き物を見下ろしながら。赤い瞳をぱちぱちと瞬かせ「およめさん」とレノックスは口にする。それからすぐに、周囲を見渡した。この子の〝お淑やか〟な母親は、運よく二人から目を離している。もしも聞かれてしまっていたなら、レノックスはおそらく彼女から、水面下で因縁を付けられていたことだろう。そのことにまずは安堵して、それから告げられた言葉に頭を抱えた。
     北の国の魔法使いとは一般に恐ろしい存在として知れ渡っているし、レノックスも時折畏怖の念に駆られることがあるのだが。どうしてか、その中でも特に偉大と謳われるとある魔法使いと魔女に関しては、南の国では基本的に心優しい魔法使いとして振舞い、その国の住民たちからもそう捉われて、慕われている。道化を演じていると、彼らの本質を知る魔法使いたちが噂する様を見聞きする機会もあるのだが。レノックスはその意見については懐疑的であった。道化ではなく、これらは彼らの新しい素の一面であり、道化ではなく変容だろうと。それがレノックスなりの見解だ。
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