ロジウム
松島 月彦
MOURNING【合作】バウムクーヘン【フリードとヒルダ】古林さんとロジウムさんに「合作しませんか?」とお声を掛けていだいて書いた小説の再掲です。後日この小説をお二方がそれぞれ漫画化してくださったのですよ……良いでしょう……ふふん。◇ ◇ ◇
滅多なことでは沈まない代わりに、一度沈んだが最後、浮上するのは難しい。
だいたい自力では立て直せないことがほとんどで、今も昔も、私自身この性格があまり好きではない。
「どこもおかしくないか? ピョン★」
「フフフッ、バッチリきまってるよ」
アイロンのきいたスーツを着込んだフリードさんは、今日は誰かの結婚式に呼ばれている。互いに騎士をつとめていれば共通の友人や仕事仲間も多いけれど、それでもそれぞれしか知らない友人もいて、今日はフリードさんだけがお呼ばれしたのだ。
「飲みすぎないでね」
「分ってるピョン★」
「新婦さんの友達ばっかり見てたら駄目だよ?」
「うーん、善処はするピョン★」
ピカピカに磨かれたフォーマルシューズを履いたフリードさんが出ていくのを、宿舎の玄関で見送った。
扉の向こうに見えた空はカラリと晴れていて、きっと素敵な結婚式になるだろうな、と思った。領地の端っこまで出張していっているエルドゥールさんたちも、そろそろ馬車が目的地まで着いただろう。
今日は宿舎に非番の私一人っきりだ。
「休日返上なんだけどね」
騎士とはいえ実戦ばかりが仕事ではない。デス 1962