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    世界

    aozorasky31

    DONE初めて書いた東リべのお話になりますので、色々薄目で読んでいただけたら幸いです。
    最終回軸で、日向とは恋人にならなかった世界線のイザ武。
    色んなことを色々捏造してます。書いてて楽しくなってしまって思った以上に長くなりました。
    Blue-violet 何度も何度も繰り返したタイムリープの果てに掴んだ、誰一人欠けることのない日常。万次郎から黒い衝動は消え、共に過ごした東京卍會が解散するまでの日々は、ひと言で言うならば楽しかった。武道は本来なら孤独にフリーターとして生きる未来しかなかったのに。たくさんの仲間に囲まれている未来なんて、なかったはずなのに。
     この手に多くのものを掴んだけれど、失ったものもあった。とてつもなく大きなもの。大切にして、己の命を賭してでも守りたかった橘日向は、恋人という甘い関係にはならず、仲の良い友人の一人となった。恋心がなかったわけじゃない。でも、万次郎と共に生きることを選ぶならば、きっとそれが最良だった。
     兄真一郎も、妹エマも龍宮寺も場地も、過去に失った人間を誰も損なわなかった世界で、万次郎は以前ほど武道に執着することがなくなった。共にタイムリープした共犯者であることから、決して繋がりを消すことはない。互いに、まだ経験したことのない未来を生きるのに必死だった。
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    nukabosi

    DONEWEBオンリー「月が綺麗でしたね」用展示です。

    ※既刊の後日譚です。単独では読めません。フィ+晶♀の逆トリ「きみは世界の真ん中さ」をご覧いただいてからお読みください。
    https://www.pixiv.net/artworks/127280364

    フィガロの死に際にブラッドリーが訪問してくる話です。
    約束の果て フィガロの診療所は今も湖のそばにあった。
     人口の増えた街が交通の要所沿いに移ったこともあり、患者の受け入れはしばらく前からやめていた。今はむしろ魔力を失いつつあるフィガロ自身のための療養の場になっている。人が訪ねてくるのは大好きだったから、手紙を受け取ったり相談事を聞いたりは続けている。ルチルもミチルも毎日のように遊びに来ていた。

     春の真昼。草むらは海のように、湖面は星のようにきらめいている。その上を強い風が渡っているのだなと気づくころには、窓から花の香りがカーテンを巻き上げながら入り込み、ベッドから立ち上がれないフィガロの全身をやさしくなでた。南の精霊も変わらずフィガロのそばにいた。

     近ごろフィガロは体を休めている時間が長くなった。そんなときはこうして草原が光る面を変えながら輝きの波を届けてくるのを飽きもせず眺めていた。だからその脚にもすぐに気づいた。晴れた空気を迎えるために開け放たれた窓から割り込むにはいささか不釣り合いな黒い脚。夜みたいにきらめくよう手入れされた革靴を履く男なんて南の国にはいない。男の服に染みこんだ煙の臭いのせいで春めいた部屋の空気が乱された。異質な訪問者が白黒の髪の下から傷だらけの顔をのぞかせた。男はブラッドリー・ベインだった。
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    abicocco

    DOODLE※宇宙警察世界線のレムラキ話
    ※いけすかないモブが出る
    BUMPY BUDDY(1) この宇宙には、ここ七年ほど世間を騒がせているとある巨大犯罪組織が存在する。指示役や仲介役に人型擬知体を間に挟むことで実行犯グループと一度も顔を合わせることのないまま組織の拡大に成功した首謀者の実体は未だ謎が多い。ボスの正体こそ複数の悪人達によって悪のエリート教育を施された擬知体なのではという声もあれば、かつて地球の一部地方を牛耳っていたマフィアの末裔を疑う声もあったが、真実を知る者はいない。その巨大犯罪組織——【グノース】を解体することは宇宙の平和を守る為に力を尽くすことを使命とする宇宙警察にとっての悲願でもあった。


    「本日面会の約束をしている者だけど。支配人は?」

     某五つ星ホテルのフロントに現れたその人物を見て、受付スタッフは呆気にとられたようにしぱしぱと目を瞬かせた。一流ホテルの従業員としては窘められるべき仕草ではあるが、彼女の反応は無理もないだろう。というのも、事前に聞かされていた肩書とその人物の容姿を一本線で結びつけるには、その服装は少々派手で……一般的物差しで見ればもはや奇抜の域に入るような格好をしていたからだ。それでもなんとか数秒のうちにプロとしての仮面を被り直すことに成功した受付嬢は品のある笑みを浮かべ、傍に控えていた案内役のスタッフへと対応を引き継いだ。そして、装着していたインカムをオンにすると、周囲に聞こえぬような小声で上司へ告げた。
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