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    fuduki_otk

    PROGRESS8/31のマヴコネでシャリシャア新刊になる予定のお話です。

    【あらすじ】
    軍を退役したシャリアとシャアが、サイド6でのんびり日常を送るお話です。
    シャリアは会社員、シャアはシロウズと名乗って大学生活を謳歌中。
    宇宙世紀のいろんな人が出てきますが、一貫してシャリシャアです。

    pixivはこちら
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25506530
    【シャリシャア】エンドロールのそのあとに01 職場のビルを出ると、聞き慣れたクラクションの音に呼び止められた。
    「乗っていくかね?」
     やたらと派手な真っ赤なスポーツカーから、これまた派手な金髪男が顔を出し、シャリアは苦笑を滲ませながら「ぜひ」と車に乗り込んだ。
    「今日の講義は六限までだったのでは?」
    「教授が学会で休講になった。まったくこちらは学費を払っているというのに……」
     車内でネクタイを緩めながら尋ねれば、隣でハンドルを握るシャアが渋面を作った。
     その横顔は大きなサングラスで隠されているというのに、彼が持つ美しさはいささかも損なわれてはいない。
     額から鼻先を通り、ほんのりと淡く色づく薄い唇と形の良い顎までをつなぐ白い稜線をうっとりと眺めていると「……見過ぎだ」と、サングラスをちらりと持ち上げたシャアに睨まれてしまった。
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    ささがし

    MOURNING新刊に収録した暗夜軍師お抱えの仕立て屋の物語『極まれり』を褒めていただけて嬉しいので、本編に入れられなかった『仕立屋の祖父と従者時代のマクベス(10代)の出会いの一幕』を公開します!!!!
    完全な前日譚なので、これを読んでから本編でも楽しいと思います!
    或る従者と職人の物語(「極まれり」前日譚) 離宮の衣裳部屋は夜半近くにもかかわらず、未だ明かりを灯していた。
     整然と並べられた衣装ドレスと帳面を前に、少年は眉を寄せて立ち尽くしていた。黒髪は薄いフードの下で微かに揺れ、手元のランプに照らされた顔には、年齢にそぐわぬ緊張が浮かんでいる。

    「……どうして、同じ意匠モチーフを」

     細く吐き出されたその声に、虚空が静かに応じた。明日、王の御前で催される舞踏会。その場に出るあるじのために用意していた髪飾りが、他の妾のものと酷似していると、つい先ほど報告が入ったのだ。
     しかも、相手はあるじの因縁浅からぬライバル__装いの「格」で負けることなど、決して許されるものではない。

     少年は唇を噛んだ。間違いなく、自分の落ち度だ。詰めが甘かった。仕立て屋から衣装ドレスを受け取ったとき、もっと念入りに検分すべきだった。
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    __COUD__

    PROGRESS2月新刊「やがて灰になる」作業進捗です。
    やがて灰になる
     九月も終わりかけだというのに、うんざりするほど暑い日だった。一人暮らしをしていた女は、親戚の訃報を受けた地元の両親から、隣の区で執り行われる葬儀に参列するよう頼まれた。親戚付き合いなどと縁のない女は、顔も知らない故人の式で、不謹慎にも両親の死に際を空想し涙した。
     
     動きづらい喪服に灼熱から身を守る日傘、引き物と何も入らないハンドバッグ、それを補うためのトートバッグ。そんな大荷物を引きずりながらやっとのことで最寄り駅まで引き返した女は、暑さから逃れるようにカフェへと足を運んでいた。最寄り駅ということもありよく使っているチェーン店である。平日の昼間であるためか、客はあまりいない。ひとまず荷物を置いて、レジで冷たい飲み物と軽食を注文する。財布を取り出そうとしたとき、背後から「This one」とメニューを指差す腕が伸びる。あまりにも突然の出来事に何も言うことができず、ただ勢いよく振り返る。そこには、金髪を丁寧にセットした外国人の男の姿があった。呆気に取られていると、その男はさも当たり前かのように女の注文分も支払いを済ませ、女が荷物を置いていた席に座ってしまった。
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