小田島
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PAST火鼠公開記念!槐宮記…中国の古典怪談と、その派生である小泉八雲の「怪談」から「安藝之助の夢」を範に取り、小田島様を添えて。別天槐宮記「大した用事ではなかったが、妻の実家もあることだし、任を果たしたあとは別に数日の暇を乞うて訪なうつもりで、土産の用意などして発った。
ほれ…お前の前に仕えていた所だよ、小田島。」
考えの深いときに小手先を遊ばせずにいない癖もかつてのまま、千切った楊枝紙を紙縒りに捻じり捻じり、よれよれと白い先細った端を向けてくる、旧知の友は立身を叶えて、藩主の名で他国へ使者に行き、戻った身である。
小田島が彼の暮らすこの土地に流れたのは偶然であった。放浪の瀬にあるうちは会うまじと思っていたが、彼のほうから小田島を見つけて、しかし折悪しくもこれから長らく旅枕という、戻ったら必ず会おう、それまで屋敷に留まって良いから逃げてくれるな。家人にも良く見張らせておく、と一方的に言い置いて、馬上の人となった。
3918ほれ…お前の前に仕えていた所だよ、小田島。」
考えの深いときに小手先を遊ばせずにいない癖もかつてのまま、千切った楊枝紙を紙縒りに捻じり捻じり、よれよれと白い先細った端を向けてくる、旧知の友は立身を叶えて、藩主の名で他国へ使者に行き、戻った身である。
小田島が彼の暮らすこの土地に流れたのは偶然であった。放浪の瀬にあるうちは会うまじと思っていたが、彼のほうから小田島を見つけて、しかし折悪しくもこれから長らく旅枕という、戻ったら必ず会おう、それまで屋敷に留まって良いから逃げてくれるな。家人にも良く見張らせておく、と一方的に言い置いて、馬上の人となった。