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    金も時間もない

    DOODLEグリレ
    リーグ戦から3年後、シロガネ山に出るという幽霊の噂を聞いたグリーンの話。
    幽霊下山「お邪魔しまーす」
    事務室の扉が開いて、黒に稲妻が走ったような柄のキャップを被った少年が部屋に入ってきた。足音は段々と近づいてくる。
    「今忙しいんだよ、帰れ」
    書類に目を落としたまま、少年に向かって手をシッシッとジェスチャーで返す。
    カントー地方にある八つのジムの中で一番難易度の高いトキワジムは、たどり着く人間が限られるため普段挑戦者は滅多に来ない。だが、今日は久しぶりに来客が多かった。
    お陰でこなさなければならない書類が山ほどある。
    「えー!酷いですよグリーン先輩」
    リーグチャンピオンであり、少し前にトキワジムを訪れオレを破ってジムバッチを手に入れた凄腕のポケモントレーナーであるこの少年、ヒビキはオレの後輩のような存在だった。コイツはチャンピオンになってからも度々トキワジムに顔を出す。お守り小判持ってジムから金をかっさらってったり、オレを煽るだけ煽って帰って行ったり……大変騒がしい少年である。普段の優しい優しいオレ様ならこんなガキにだって付き合ってやるが、今日はそんな暇もない。シルバーに引き取ってもらってお帰り頂こう。
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