手彫り
tsuyuirium
PASTお抱え若手彫り師のモブさんが腕の聡実を観測してしまう狂聡まんじゅう怖い「成田さん歌ヘタ王なってもうたんやって?」
一般的に、と言えるほどの経験サンプルがないので断言することはできないが、祭林組若頭補佐のこの男はどこか、そんな大層な肩書きなんてなんでもないとでも言うような、気安い雰囲気の漂う人だった。
今だって自分のそんな問いかけに、スマホから目を離さないまま軽い口調で応戦してくる。
「うーわもう知ってんの。誰から聞いたんや」
「小林さんす。この前ここ来た時言うてました」
「自分のヤマハがうまいこといってるからって、なあ」
人の不幸笑うのは酷ない?
そう言ってスマホからやっと顔をあげ、薄ら笑いを向けてくる。
およそ七対三で分けられた前髪が揺れる。緩慢な動作に見合わない笑顔は、先ほど言っていたようなことなど微塵も考えていなさそうなものだった。
2108一般的に、と言えるほどの経験サンプルがないので断言することはできないが、祭林組若頭補佐のこの男はどこか、そんな大層な肩書きなんてなんでもないとでも言うような、気安い雰囲気の漂う人だった。
今だって自分のそんな問いかけに、スマホから目を離さないまま軽い口調で応戦してくる。
「うーわもう知ってんの。誰から聞いたんや」
「小林さんす。この前ここ来た時言うてました」
「自分のヤマハがうまいこといってるからって、なあ」
人の不幸笑うのは酷ない?
そう言ってスマホからやっと顔をあげ、薄ら笑いを向けてくる。
およそ七対三で分けられた前髪が揺れる。緩慢な動作に見合わない笑顔は、先ほど言っていたようなことなど微塵も考えていなさそうなものだった。