新治
ふすまこんぶ
DONEクーデター後の新将軍と新治安大臣のお話続きにして完結編。ちょいと長官が出てくるよ。
酒と傷(2)いつものバーで、いつものように、ゲンブは酒を飲んでいた。
だがちっとも楽しくない。ため息をついていると、マスターに声をかけられた。
「ギルモアさんと喧嘩でもしましたか?」
ゆっくりと顔を上げる。
「ゲンさん、誰かお客さんが来るたびに入り口の方を見てますよね」
やはりマスターにも気づかれていたらしい。気まずそうに手元のグラスに視線を落とす。
あの宅飲み以降、ギルモアに謝ろうと何度も声をかけた。だが、「忙しい」と言ってするりと逃げられてしまうのだ。仕事の話は何とかできているものの、向けられる眼差しはやけに無機質で、彼が何を思っているのか未だに分かっていない。
このバーに来ればギルモアに会えるかもしれない。話ができるかもしれない。そんな期待を胸に店を訪れたが、待てども待てどもギルモアは現れない。
7320だがちっとも楽しくない。ため息をついていると、マスターに声をかけられた。
「ギルモアさんと喧嘩でもしましたか?」
ゆっくりと顔を上げる。
「ゲンさん、誰かお客さんが来るたびに入り口の方を見てますよね」
やはりマスターにも気づかれていたらしい。気まずそうに手元のグラスに視線を落とす。
あの宅飲み以降、ギルモアに謝ろうと何度も声をかけた。だが、「忙しい」と言ってするりと逃げられてしまうのだ。仕事の話は何とかできているものの、向けられる眼差しはやけに無機質で、彼が何を思っているのか未だに分かっていない。
このバーに来ればギルモアに会えるかもしれない。話ができるかもしれない。そんな期待を胸に店を訪れたが、待てども待てどもギルモアは現れない。
ふすまこんぶ
DONEクーデター後の、新将軍と新治安大臣のお話。友達以上恋人未満的な…?
酒と傷(1)元自由同盟盟主にして治安大臣、ゲンブの趣味のひとつに「酒」がある。
各地の銘酒を集めて家でゆっくり飲んだり、酒場に行ってお気に入りの酒を飲んだり。仕事に追われる毎日から抜け出し、ほっと一息つける貴重な時間だ。
クーデターからの復興で慌ただしい日々を送る中、ようやくもぎ取った休みの夜、ゲンブは行きつけのバーのカウンターで地酒を煽っていた。
ピリポリス駅から少し離れた飲み屋街の、メインストリートから更に離れた細い路地にある、こじんまりとしたバーだ。ウッド調の温かみのある内装で、カウンターの後ろには所狭しとボトルが並んでいる。小さなバーだが、一体どこから仕入れたのかと驚く程貴重な銘酒が当然と陳列されるような、不思議な店だ。
6619各地の銘酒を集めて家でゆっくり飲んだり、酒場に行ってお気に入りの酒を飲んだり。仕事に追われる毎日から抜け出し、ほっと一息つける貴重な時間だ。
クーデターからの復興で慌ただしい日々を送る中、ようやくもぎ取った休みの夜、ゲンブは行きつけのバーのカウンターで地酒を煽っていた。
ピリポリス駅から少し離れた飲み屋街の、メインストリートから更に離れた細い路地にある、こじんまりとしたバーだ。ウッド調の温かみのある内装で、カウンターの後ろには所狭しとボトルが並んでいる。小さなバーだが、一体どこから仕入れたのかと驚く程貴重な銘酒が当然と陳列されるような、不思議な店だ。