Recent Search

    ふすまこんぶ

    @Konbu_68
    ワンクッションイラスト/小説置き場

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 75

    ふすまこんぶ

    DONE旦那氏×将軍話、最終話
    他にも色んなキャラが登場します
    誰も知らない革命(4)どこへ行っても人、人、人。ピリポリスの大通りは、まるで祭り事でもあるのかと思ってしまう程人で溢れかえっていた。白髪の老人は群衆の間を通り抜け、歩道と車道の境界に辿り着いた。大勢の人間で溢れる歩道とは打って変わって、広い車道には車の影もなかった。
    まだかな。そろそろじゃないか。周囲の人間は期待に満ちた声で囁きあった。彼らが手にしているのは小さなピリカ星旗だ。老人は手ぶらだったが、何かを探すかのように辺りを見回していた。
    と、大通りに金管楽器の音が響き渡る。群衆は一斉に音のする方に顔を向けた。誰かが「あっ! 来たぞ!」と声を張り上げる。老人もそちらの方を向いて、ハッと息を呑んだ。
    遠くからやって来たのは、ピリカ軍服に身を包んだ音楽隊。一糸乱れぬ隊列を組み、軽やかなファンファーレと共に車道を歩く。その後に続くのは、戦車やトラック、オートバイたち。徐行速度を保ちながら道を進む車両たちには、ピリカ軍兵士が乗っていた。皆群衆に向かって手を振り、群衆たちはピリカ星旗を頭上で振って歓声を上げている。どこからか出たのか紙吹雪がはらはらと舞い、パレードに彩を添えていた。老人は騒がしい人混みの中で、ただじっと何かを待つように道路に目を向けていた。
    7111

    ふすまこんぶ

    DONE「紫苑」のおまけその2(またか)、旦那氏×将軍。
    晩年の旦那氏と、死後の2人の話です。
    紫苑 ─one year and after─余命1年と聞かされた時、真っ先に頭に浮かんだのは、残された妻はどうなるだろうかという不安だった。

    ずっと体調が悪い日々が続いていた。いつものことだからと特に気にも留めていなかった。妻と一緒に夜ご飯を食べていたある日、突然吐き気を催して、トイレで胃の中のものを全て戻してしまった。吐瀉物には僅かに血が混ざっていて、血相を変えた妻にすぐに病院へ連れて行かれた。
    自分の身が病に侵されていることを知ったのは、検査を受けた翌日だった。
    その病気自体は、特に高齢な人間が患いやすいもので決して治らない病じゃない。治療薬もちゃんとある。しかしそれは早期に発見できればの話で、僕のように末期に近い人間には手遅れだった。
    去年の健康診断では異常なしだった。おそらく、元々体が弱いために一気に病気のレベルが進んでしまったのだろうというのがお医者さんの見立てだ。普通の人なら、今からでも治療を開始すればそれなりに進行を遅らせることができるらしいけれど、虚弱な自分の場合は、多少進行を遅らせたとしても体のほうがもたないだろうとも言われた。
    4866