Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    春日

    あもり

    DONE11/23 スパークにて会場無配コピー本として頒布した、遙か3小話です。
    遙か3本編前の八葉それぞれの情景や場面を映した,まさに小話集です。
    カップリング要素なし。オールキャラものです。
    当日お手に取っていただいた方、本当にありがとうございました。
    ※「春日望美の有在」通販購入に限り、こちらの現物をお付けしています。
    それぞれの前夜「朔殿は大丈夫ですか、景時」
     陣幕から一人出てきた景時に向かって声をかけると、思ったよりも肩の力を抜けさせてこちらに歩み寄ってきた。
    「うん、もう大丈夫。あとは寝て回復するしかないだろうからね」
    「……無茶をさせてしまったな」
    「白龍の神子がいればまた違ってくるんでしょうが」
    「白龍の神子、か」
    「おや九郎。その声は信じていませんね」
    「そういうわけではないが……、俺はこの目で見るものでしか、判断できないだけだ」
     弁慶がからかうように声をかければ、九郎はやや眉を寄せた表情を浮かべる。嘘をつくことを知らないまっすぐな源氏の総大将は、自分の感情にも素直であった。
    「九郎らしいね~」
    「なんだと」
     褒めているのになあ、と景時は苦笑しながら、あつらえられた席に座る。弁慶は三人そろった卓に持ち出してきた書を広げる。これからの京への進め方、そして、景時と弁慶はお互い言わないがー実践として初めて源氏軍に加わった、自分たちの下にいる黒龍の神子のことを嫌でも意識せざるをえなかった。
    2065