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    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    榊先生と時雨の話
    時雨が資料室に用事があり、そっと扉を開く。資料室は主に教師が授業で使う資料や昔の記事や録音されたデータなどが残っている。データや資料の数の関係で部屋の広さは中々のものだ。掃除は定期的にされていると言われているが所々にホコリが溜まっており、部屋の空気の悪さに少し顔を顰めつつ目的の探し物を探す為中に入る。
    探し物を探そうとしていたらなにやら誰かいたらしく声のする方へ顔を向けるとよく見知った背中が見えた。その人物は本棚の前で背伸びをしてなにか取ろうとしていたが、身長の関係か、はたまた庇ってる足のせいか、取れる様子はない。少し考えた時雨は音もなく近寄ると後ろからこれだろうか、とすんなり本を取った。突然伸びてきた手に驚いた様子で後ろを向いた人物──榊は時雨を見る。
    「……これですか、榊先生」
    「……な、なんですか!自分が高いアピールでも!?」
    「……はぁ……?」
    誰もそんなつもりで取ったのではないが、と思いつつ、相変わらず素直ではない先輩である榊を見る。時雨からしたら、足が悪いというのにあのまま背伸びして取るのは辛いだろうと思ったからだ。まぁ、それを言ったところで、相手は嫌味を言うのだろうか 732