歌劇場
赤裸々
PAST1月26日に開催されたヌヴィリオプチオンリー「今宵、歌劇場裏にて」で無料配布していた1枚漫画。同時に頒布していた新刊の内容に若干触れますがこれ単体で十分読めます。「言わぬが花にもほどがある」終了後、X(旧Twitter)にて公開いたします
Malchut_ruin
DONE「言わほど2nd」の展示作品。2/1 ヌヴィリオWebオンリ―「言わぬが花にもほどがある2nd」の展示で、1/26ヌヴィリオプチオンリー「今宵、歌劇場裏にて」で頒布したペーパーです。
特に非公開にする予定はありませんので、お時間のある際に読んでいただけたら嬉しいです。
銀の獄に狗の斎く 目の前が真っ赤に染まっていたのだと、
気がついたのは、その声で名を呼ばれた時だった。
「リオセスリ殿」
はるか高みから降り注ぐ声は、フォンテーヌを外界と隔てる大滝のよう。錚々たる瀑布の威容に晒されて、はっと目を覚ましてみれば――おのれの手の中に、人の首があった。
ぎし、と軋んだのはガントレットの鋼鉄だったか。
「――っ!」
慌てて手の力を抜けば、ぶらりとその頭が後ろへ傾いだ。一瞬ひやっとしたものの、幸い首の骨は無事のようだだ。手入れの行き届いていた鉢の毛は乱れ、その顔は涙や鼻汁にまみれているが、目立った外傷はない。恐怖に顔を歪めて、気絶しているだけだ。
(……息は、ある)
男をその場に下ろすと、後ろから走ってきた靴音が、リオセスリの脇を抜けてばらばらと周囲へ散っていった。彼ら警察隊の前には瓦礫の山が積みあがっている。煙を噴き上げ、でたらめな明滅を繰り返すそれらは、さきの男が引き連れてきたマシーナリーだった。
6714気がついたのは、その声で名を呼ばれた時だった。
「リオセスリ殿」
はるか高みから降り注ぐ声は、フォンテーヌを外界と隔てる大滝のよう。錚々たる瀑布の威容に晒されて、はっと目を覚ましてみれば――おのれの手の中に、人の首があった。
ぎし、と軋んだのはガントレットの鋼鉄だったか。
「――っ!」
慌てて手の力を抜けば、ぶらりとその頭が後ろへ傾いだ。一瞬ひやっとしたものの、幸い首の骨は無事のようだだ。手入れの行き届いていた鉢の毛は乱れ、その顔は涙や鼻汁にまみれているが、目立った外傷はない。恐怖に顔を歪めて、気絶しているだけだ。
(……息は、ある)
男をその場に下ろすと、後ろから走ってきた靴音が、リオセスリの脇を抜けてばらばらと周囲へ散っていった。彼ら警察隊の前には瓦礫の山が積みあがっている。煙を噴き上げ、でたらめな明滅を繰り返すそれらは、さきの男が引き連れてきたマシーナリーだった。