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    nbsk_pk

    DOODLE炎さんの服のしっぽ穴に興味津々な博の話
    しっぽ穴 テラにおける人類のおおよそ半分に共通の悩みとして、服の尻尾穴をどうするかというものがある。無論、金持ちや貴族であればぴったり自分のサイズに仕立てた衣服を纏っているためこのような悩みとは無縁だろうが、エンカクのような庶民、それも流浪を日常とするサルカズともなれば自分のサイズに合った服を手に入れられることすら奇跡的な確率であり、ましてや尻尾穴のサイズともなれば自身で調整するのが当たり前の世界であったので、目の前の小柄な痩身が不思議そうにエンカクのズボンの尻尾穴を観察していることにいささかどころではない尾の置き所の悪さを感じているのだった。
    「まだか」
    「だって私の服にはついてないのだもの」
     どこか上の空の――この男が集中しすぎるときによく発する――口調とは裏腹に、エンカクの腹に抱き着いたままの男は両手を伸ばしてエンカクの臀部をまさぐっている。厳密には尻ではなく尻尾の付け根のところにあるズボンの布地に開けられた穴である。サルカズの尾はヴィーヴルほど太くはなく、ヴァルポのように豊かな毛に覆われているわけではない。分類としては細尾であり、維持する穴のサイズも比較的小さく済む。種族によってはやれ穴に毛が引っかかっただの位置が悪くて尾の表面が削れただののトラブルが日常茶飯事ではあるが、サルカズである自分は幸運なことにその類の問題とは縁遠かった。長さだけはあるため、着替えの際急いで通そうとすると留め具に絡まることがあるくらいだ。そのような何の変哲もない尾ではあるのだが、このテラでも指折りの頭脳を持つ男にとっては立派な観察対象であるらしい。
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    Yako_san8

    DONEあしつつワンドロ・ワンライ蛮族チャレンジ…!途中眠りかけちゃってェ…、結局2時間くらいかかっちゃってェ……。もういいよね…?というコトでサクッと投げておきます。お題は《公衆電話》お借りしたのですが、内容は『なぜか津さん家(奥さん&娘が出ていった一軒家)に葦が居候してる』という謎時空設定でのお話です。本当に謎でごめんね……。
    繋ぐ声 ・あしつつワンドロ・ワンライ お題:《公衆電話》


      「……もしもし、」

     無機質に響く呼び出し音にも飽き、そろそろ受話器を置こうかと離しかけた耳にかすかな男の声が届いた。
    「―おう、帰ってたか。……俺だけどよ」
    再度受話器を耳に寄せた津詰は相手の反応などお構いなしに尋ねる。
    「何か買って帰るモンあるか……?」
     沈黙の続く受話器の向こうから聞えよがしな溜息が伝わってきた。
    すっかり日の落ちた街角で常夜灯に照らされる緑色の電話機の台に凭れながら、刑事の男は掌上の十円玉数枚をジャラと鳴らし、苛ついたように声を低める。
    「だから、必要なモンがあんのかないのかって聞いてんだよ!―早くしろ、小銭がもったいねえ」
     今度の沈黙にはやや逡巡するような間があった。数秒してから素っ気無い声が返ってくる。
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