粛清
出汁晶
MEMO粛清の何年も後で。玄弥目線。「良かったら、一つ花を貰えないだろうか」世話している盆栽に花がついたと話をすると、悲鳴嶼さんはそう言った。そんな事をこの人が言うのは珍しくて了承して、剪定して花を一つ大きな手に乗せた。
「有難う」
飾るんだろうか、見えないから香りを楽しむんだろうかと思っていると、悲鳴嶼さんは庭の隅にぽつんとある墓の元へと歩いて行った。小さな土山の上に渡した花を置いて、手を合わせる。
「・・・ずっと気になってたんですけど、そこ、誰が居るんですか」
隊の共同墓地ではなくわざわざ自分の屋敷の庭に墓を作るなんて、余程大切にしていた隊士だったんだろう。もしや恋人だろうか。
答えは無いかもと思いながら聞いたけど、悲鳴嶼さんは答えた。
「・・・お前の先輩だ」
「先輩・・・」
咄嗟に頭を過ぎったのは、「またあの人が弟子をとるなんてな」と言った音柱の姿だ。また、と云う事は、俺の前に誰が居たんだろう、悲鳴嶼さんの弟子が。
何故今居ないのかは、誰も教えてくれなかった。でもこの組織に居れば、いつ誰が死んだっておかしくない。
俺は悲鳴嶼さんの横に並んで、一緒に手を合わせた。あんたもこの人の無茶苦茶な指導に振り回されたんですか 680
出汁晶
MEMO悲鳴嶼師範の粛清。夢のような夢ではないような。推しに殺されたい。「師範」部屋から出てきた悲鳴嶼師範が玄関に向かうから、外に行くならお供しようと立ち上がる。途端、「来るな」と低い低い声で制された。
「任務のお邪魔はしません。いつものようにお供させてください」
「任務ではない。伴はいらない」
「でも、」
「いいから来るな」
「・・・はい」
師範は頑固な人だ。自分がお願いしても、駄目な時は絶対駄目だ。
「今日は帰らない。いつも通り鍛錬を」
「・・・はい。お気をつけて」
任務ではないと言ったその通り、師範はいつもの日輪刀を持ってはいなかった。代わりに手にあるのは、見慣れない普通の刀。色からして日輪刀ではあるのだろう。
「行ってらっしゃい・・・」
師範はあの日どころか翌日も帰らなかった。泣き腫らした瞼を閉じて滝に打たれているのを見つけた時、心配したんですよと自分は怒ったんだ。
そんな事を今、思い出した。
「・・・・・・お前には、使いたくなかった」
師範は泣きながら、庭に正座する自分の前であの刀を鞘から抜いた。
任務先で邂逅した鬼は、自分の妹だった。殺さないでと頼んだ。一緒に逃げようと手を握った。師範はあの子をいとも容易く葬り去った。自分の目の前で。
そ 861
ekoco
TIREDいつも自分の後をついて回ってたネガティブな幼馴染が、見たこともない表情をしている………的な。二次によくある、人のふりをして要人を護衛(もしくは、歴史修正主義者を粛清)する現代遠征。
途中で完成形を見失った。