草と木馬（無劉）初めての街の匂いは、土と人と、煙の混じったにおいだった。
無名は、馬の背に揺られながら見たその街の風景を、ぼんやりと思い返していた。
父に連れられて、山をいくつも越えて辿り着いた幽州の街――涿郡。ここは、漢の人々の世界。

賑やかな街だ。
無名は人がこんなに溢れているのを初めて見た。
中には自分たちのような「漢の外」の人間も少なくない。人の出入りが激しい街なのだろう。
匂いも、いつかの村里と違い、土や人の匂い以外に食べ物の匂い、何かの香の匂いなど、色々な匂いがした。
父やその旅の仲間が食料や道具を買いに回っている間、人酔い気味になった無名は商店の通りを離れ、人の少ないほうへ一人向かった。道を覚えるのは得意だから、迷わず戻れるはずだ。

【骑曲】至渊正文：

弗雷德里克倚在皮质沙发上，借灯火审阅一叠泛黄的手稿，指间把玩着探测器。
门外传来敲门声，他抬起头，视线越过堆满仪器的实验台看向门口。
把手自行转动了方向，风灌入时引进一阵熏香气。
身形高挑的年轻男人背光走近，皮靴锃亮，往上是黑色呢绒风衣，长摆沾了阴雨天的潮气，银蛇胸针揭示了此人的来意。
“谢林先生，希望没有打扰到您宝贵的试验时间。”
年轻男人摘下帽子，鞠了一躬。他眉骨高，衬得异色眼眸格外深邃，微笑时勾起唇下小痣，中长卷发呈青灰色，让过白的肤色显出几分别样的瑰丽。
弗雷德里克目光锁定在徽章上，沉声道：“梅洛迪手伸得未免太长了。”
“啊……我的服务内容并不包括安抚您的不满情绪。”年轻男人笑着说道，“请允许我正式自我介绍——理查德，受雇于梅洛迪先生，从今晚开始，将由我担任您的……”