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    棚ca

    MEMO新刊のあとがきなんですけど、鶴月腐女子ワイのネチョッとした魂が詰まってるのでコチラだけでも楽しんでいただけると幸いです。すぐ「〇〇(推しカプ)は事実で真理」って言うタイプの腐女子を許して…
    新刊あとがき 便宜上、あとがきではありますが、前置きです。鶴月って正史なんですよ。娘を喪った鶴見と父親から虐待されていた月島が、良き指導者と良き生徒という擬似親子をなぞり、二人とも愛する者と結ばれなかった傷を抱えながら戦場で夫婦以上の親愛関係を結ぶ。そこに鶴見は手間隙かけた嘘で月島に鎖を幾重にも巻いている。恋愛と分類するのがかえって躊躇われる重たさですが、特筆すべきはその執着です。
     そもそもで言えば、鶴見が死刑囚の月島を救うために行った偽装工作も大掛かりすぎやしませんか。駆逐艦を持つ将校の子でも第七師団長の妾の子でもない、優秀とはいえただの下士官相手に。月島の有能ぶりに目をつけるのが異様に早いように感じます。死刑囚を釈放させるのも相当な手間だったと思いますし、そのために死体(どこにあった誰のものだったんだろう)を用意して、月島の家の下に埋め、島民の前で掘り起こしている。それを八年越しに明かすために佐渡の人間を用意する。余談ですが、鶴見にここまでされて自己肯定感が下向きに行く月島もある意味才能かなと思います。
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    海月(うみのつき)

    DONE・若き数学者と詩聖のお話パート2。
    ・ちょっぴりカプ寄りな表現あり。苦手な方は回れ右。
    ・奏章Ⅳのネタバレを含みます。
    ・モリンテかンテモリか……んー、どっちでもいいんじゃない?派 考えるの面倒臭いから心とか魂で感じる方がいいと思うー。
    FunFanService 太陽の光など生まれてこのかた知らない曇天と、人ひとりの姿さえ見られず存在意義を失った大通り。亡者が居住しているはずの建物の扉は、皆一様に固く閉ざされたまま。色欲区はまさにゴーストタウンじみた有様だった。

    「色欲区というから一体どんな場所かと身構えていたが……僕の想像とはかなりかけ離れていたよ」

     色欲、というからには、そこかしこに「情欲を抱いた人間」がわらわらしていると予想していたのだが、異様な静けさだけが居座っている区域内の様相に、モリアーティは肩透かしを喰らった気分になった。
     ……別にそういう人間が見たかった訳ではない。どちらかと言えば僕自身は(自分で言うのも躊躇われるが)、欲より理性で得られる利益を優先する。だから逆位置にいる人間を目の当たりにすると、どうしても顔が歪んでしまう。醜悪という感情からではない。理解に苦しむ、という意味でだ。むしろ偏桃体やら前頭葉が発達した人間という生き物として、彼らは何も間違ってはいない。過ぎる欲望は身を滅ぼすが、欲や願いがなければ人は生きる情熱を失ってしまう。ちょうど薪の類と同じ原理だ。みずからを燃やしてエネルギーを獲得し前進していく。きっと、おかしいのは僕の方だ。僕は薪ではなく、ちょっと他人より効率がいいだけの石炭なのである。
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