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    wamanaua

    DOODLEラウグエラウ
    ※捏造幼少期、一人称僕、鶏の食肉加工
    ちぬま はじめて落としたのは鶏の首。びくびくと跳ね回る体から噴き出る血が足を汚し、真っ白な靴下と真っ白な靴が赤く、黒くなる。生暖かく不快なそれを僕は多分忘れないが、だから黒い靴下を履いているということはいつか思い出せなくなる。あれは子供のちょっとした背伸びだった。
     にいさんと僕は、同時期に僕たちを産んだ母たちが、また同時期に癇癪を起こして死んで、それを思うとむしゃくしゃしてたまらない父にほっぽられたのだ。子供が住むには良いとされる……クソ田舎の……娯楽だか療養だかのコロニーに預けられ、そこでほとぼりが冷めるまで過ごすことになった。
     僕は母が近々死ぬことに変な確信を持っていたのであまりショックではなかったが、兄は年相応に(その通りだ、僕たちはまだ手を繋いで寝ていたぐらいの年だ)悲しんでいたと思う。よく癇癪を起こし、物を投げたり壊したりするのは僕で、にいさんはどちらかといえばそんな僕を宥めすかす役だったが、あの頃は立場が逆転していた。夜になると泣いて起きるにいさんを撫でて共に寝、朝は起きるのが怖いというにいさんをくすぐって起こした。昼は人工太陽を見るのも嫌だというにいさんを引っ張って、いつもそこらの原っぱを転げ回っていた。
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