Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    2022

    ちゃつぼ

    PAST転生五夏と元祖五夏のふんわりした話。

    2022.10.30 今夜帳の中で
    あなたは甘い、甘い毒。 傑とは高校からの付き合いになる。家から一番近い高校を選んだら傑がいた。
     俺の運命。
     何だかんだ、ケンカしながらも三年間同じクラスでつるんだ。
    『お前、大学どこ行くの?』
    『〇大』
    『…初耳』
    『今決めた』
     俺は爆笑した。
     傑は面白い。老け顔っていうんじゃないが、タッパのデカさと三白眼で輩みたいな服装を好み──それがまあ似合うのなんの──初見の印象はすこぶる悪い。が、その見た目を大きく裏切るのが一人称『私』を採用している話し方だ。意外にも程がある。意図された微笑みなんて胡散臭いことこの上ないが、それも何故か似合っていた。おまけに声もいい。知らぬ間に吸い込んでいた神経毒の様に、滑らかに浸透している。傑の作る完璧な外面に思うところがない訳じゃないが、好きにすればいいと思った。俺の横でお笑いを見て大爆笑してる様子は可愛いし、俺にブチ切れて拳を出してくる容赦の無さには胸が躍る。傑が悟、と俺を認識して名を呼ぶ行為が、どういう訳か俺を高ぶらせる。呼んでくれもっと俺をと、そういう気分になる。おかしいというより、ああ好きなのかと、俺は俺自身を分析した。俺は傑がいれば他は割とどうでもいい。傑から目を放せない。抱きたい。ぐちゃぐちゃにしてやりたい。
    9177