Tari
DONE義煉三部作、完結編です!これで最後まで…行ったかな??
朝月夜朝月夜
荒い息遣いが、辺りに響いていた。木々の合間を夜のしじまが満たしていて、白樺の木の隙間から見上げる空も、黒く塗りつぶされている。
息遣いは煉獄のものだった。すでに手負いのようだが、特に深い傷ではなさそうだ。息が上がっているのは、そのせいではないようだった。
すでに鬼は斬り倒されて、隠たちが後始末に忙しく動き回っている。
別の鬼を追っていた冨岡は、そちらを始末して戻ってきて、暗闇を見つめたまま立ち尽くす煉獄を見つけたのだ。
「炎柱様」
隠の一人が声をかける。煉獄は、我に返ったようにその者を見た。
「お怪我の手当を……」
「いや、いい。自分でできる」
いつもの優しい声だが、どことなく固い響きが混じった。
3249荒い息遣いが、辺りに響いていた。木々の合間を夜のしじまが満たしていて、白樺の木の隙間から見上げる空も、黒く塗りつぶされている。
息遣いは煉獄のものだった。すでに手負いのようだが、特に深い傷ではなさそうだ。息が上がっているのは、そのせいではないようだった。
すでに鬼は斬り倒されて、隠たちが後始末に忙しく動き回っている。
別の鬼を追っていた冨岡は、そちらを始末して戻ってきて、暗闇を見つめたまま立ち尽くす煉獄を見つけたのだ。
「炎柱様」
隠の一人が声をかける。煉獄は、我に返ったようにその者を見た。
「お怪我の手当を……」
「いや、いい。自分でできる」
いつもの優しい声だが、どことなく固い響きが混じった。
Tari
DONEついったフォロワさん100人のお礼のぎゆれんです!🔥さんが口がきけません。木洩れ日 いつも、この二人の間にはあまり双方向の会話がない。煉獄が何事か話しかけ、それに冨岡が聞こえないような返事をする。それだけだ。だいたいは、煉獄が一方的に喋り、笑い、納得して終わっているように見える。だが、特に不都合はないようだし、任務のときなどは互いに絶妙な間合いで動くことができる。
しかし今日は、ただ二人で座って、黙ったままで時間が過ぎていっている。煉獄は珍しく無言で、冨岡はいつものごとく無口で、間に置かれた二つの湯呑みと、初夏の風が渡るさわさわとした音だけが、辺りを満たしている。
数日前の任務で、煉獄は鬼に首元を掴まれて喉をやられてしまい、声が出なくなってしまったのだ。こればかりは喉を休めて回復を待つよりほかないので、自宅でおとなしくしていた。隊士への指示が出せないので、任務も数日は休みだ。そこへ、冨岡が訪ねてきたというわけだ。
2565しかし今日は、ただ二人で座って、黙ったままで時間が過ぎていっている。煉獄は珍しく無言で、冨岡はいつものごとく無口で、間に置かれた二つの湯呑みと、初夏の風が渡るさわさわとした音だけが、辺りを満たしている。
数日前の任務で、煉獄は鬼に首元を掴まれて喉をやられてしまい、声が出なくなってしまったのだ。こればかりは喉を休めて回復を待つよりほかないので、自宅でおとなしくしていた。隊士への指示が出せないので、任務も数日は休みだ。そこへ、冨岡が訪ねてきたというわけだ。