minato18_
DONE一総/HAE後湊のかずその夏。暑いねって髪をかきあげる君が、大好きで、誰にも奪われないように、キスをした。
#僕と君の夏
https://t.co/ZECLE1wukB
宣戦布告 すっかりあいつの出前に慣れてしまっているが、たまには自分から出向こう。そう思い〈楽園〉へと向かっていた道中、海と陸の境であるコンクリートの上に、目当ての人物の姿を見つけた。
「かず……」
声を掛けようとして口を閉じる。なんだか様子がおかしい。僕は何かに急かされるように走り出した。
「総士、どうしたんだ?」
僕の気配に気づいた一騎は、海へと向けていた瞳に僕を映すと驚いたように二、三度瞬きをした。良かった、いつも通りだ。
「……昼食を食べに行こうとしていたところで、お前を見かけたから」
「わざわざ上がってこなくても……呼べば良かっただろ?」
呆れたように笑う一騎はやはり普段通りの様子だ。僕の思い過ごしだろうか。研究が思うように進まない焦りから神経質になっているのかもしれない。
1172「かず……」
声を掛けようとして口を閉じる。なんだか様子がおかしい。僕は何かに急かされるように走り出した。
「総士、どうしたんだ?」
僕の気配に気づいた一騎は、海へと向けていた瞳に僕を映すと驚いたように二、三度瞬きをした。良かった、いつも通りだ。
「……昼食を食べに行こうとしていたところで、お前を見かけたから」
「わざわざ上がってこなくても……呼べば良かっただろ?」
呆れたように笑う一騎はやはり普段通りの様子だ。僕の思い過ごしだろうか。研究が思うように進まない焦りから神経質になっているのかもしれない。
minato18_
DONEかずこそ湊のかずこその夏。打ち上がる花火に照らされる君の横顔が、どうしようもなく大好きで、平然を装って汗ばむ手を握った。
#僕と君の夏
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花開く煙花「花火くらい二人で見てあげて」
そう遠見さんに言われたから、仕方なく、あくまで仕方なく、真壁一騎と一緒に海岸の中でも人気のないスポットに向かっていた。
しばらく歩いているが、真壁一騎は黙ったままだった。たまにちらっと様子を伺ってみても、いつも通りの無表情で何を考えているのかさっぱりだ。
喜んで、る、のか……? 喜んでいないのなら、とんだ無駄足になってしまうのだが。
「総士」
「え? ぅわっ!?」
名前を呼ばれたと思ったらだき抱えられていた。しかも俗にいうお姫さま抱っこという形で。
いきなり何をするんだという僕の文句は打ち寄せた白波に飲み込まれる。真壁一騎の膝下までを濡らした波が、僕が今し方つけた足跡を消し去りながら返っていく。……いつの間にこんなところまで波が来ていたんだろう。
2833そう遠見さんに言われたから、仕方なく、あくまで仕方なく、真壁一騎と一緒に海岸の中でも人気のないスポットに向かっていた。
しばらく歩いているが、真壁一騎は黙ったままだった。たまにちらっと様子を伺ってみても、いつも通りの無表情で何を考えているのかさっぱりだ。
喜んで、る、のか……? 喜んでいないのなら、とんだ無駄足になってしまうのだが。
「総士」
「え? ぅわっ!?」
名前を呼ばれたと思ったらだき抱えられていた。しかも俗にいうお姫さま抱っこという形で。
いきなり何をするんだという僕の文句は打ち寄せた白波に飲み込まれる。真壁一騎の膝下までを濡らした波が、僕が今し方つけた足跡を消し去りながら返っていく。……いつの間にこんなところまで波が来ていたんだろう。