Satsuki
DOODLE〇「あんまり見てると金取るぜ?」のセリフ、私も大好きです!!と言いたかっただけの文章。多少メタい。レトユリレト。きみを見つめる対価なら「あんまり見てんなよ、先生。あんた相手でもそろそろ金取るぜ」
ユーリスの挑発的な言葉に、ベレトはピクッと体を揺らして驚きを表現した。表情が全く変わらないので、一部の生徒達から気味が悪いと遠巻きにされていることを気にしているのだろう。釣り針に魚がかかっても、同じように表情を変えずちょっとだけピクッと体を揺らした後に何食わぬ顔で釣り上げていることをユーリスは知っている。そして、釣り上げた後はすこし満足そうに見える顔をしていることも。
「金か……」
困ったように呟いて、ベレトはごそごそとポケットを探り始めた。いや半分冗談だったんだが……ユーリスは腕を組み、ひとまずベレトがどうする気なのか観察することにした。毎節の課題を手伝う代わりに授業を受けさせてもらっている身とはいえ、舐められるわけにはいかない。取れるものは取っておいてもいいし、受け取らずに何が交換条件を飲ませてもいい。例えば、次回の個別指導でのメニューをこちらから指定するとか、アビスに住む子供達に灰狼学級を開放して、簡単な計算や読み書きの授業をさせる、とか。
1780ユーリスの挑発的な言葉に、ベレトはピクッと体を揺らして驚きを表現した。表情が全く変わらないので、一部の生徒達から気味が悪いと遠巻きにされていることを気にしているのだろう。釣り針に魚がかかっても、同じように表情を変えずちょっとだけピクッと体を揺らした後に何食わぬ顔で釣り上げていることをユーリスは知っている。そして、釣り上げた後はすこし満足そうに見える顔をしていることも。
「金か……」
困ったように呟いて、ベレトはごそごそとポケットを探り始めた。いや半分冗談だったんだが……ユーリスは腕を組み、ひとまずベレトがどうする気なのか観察することにした。毎節の課題を手伝う代わりに授業を受けさせてもらっている身とはいえ、舐められるわけにはいかない。取れるものは取っておいてもいいし、受け取らずに何が交換条件を飲ませてもいい。例えば、次回の個別指導でのメニューをこちらから指定するとか、アビスに住む子供達に灰狼学級を開放して、簡単な計算や読み書きの授業をさせる、とか。
Satsuki
CAN’T MAKE〇レトユリレト支援C妄想続き燕と悪魔は夜を飛ぶ2「ぐああっ……!」
どっ、と足元に倒れた盗賊の手から武器を蹴り、ベレトは辺りを見渡した。これで三人目。どうやら全員、先ほどの宿場にいた男のようだ。
(ふむ、蠍の刺青……奴らの仲間で間違いないようじゃな。油断するでないぞ)
ソティスの声に頷き、月から身を隠すように移動する。街道の方へ戻らなければ。彼は無事だろうか。
(ジェラルトの言葉を思い出せ)
あの子から目を離したのは間違いだったろうか。いや、しかし。
(確実に敵を減らす。……必ず、守ってみせる)
『ベレト、護衛をする時はな』
父の声が蘇った。戻った街道には血の匂いが充満している。そのまま足を止めず、ベレトは戦いの気配がする方へと走った。
『護衛対象から片時も離れちゃならねえ、と思うだろう?』
4171どっ、と足元に倒れた盗賊の手から武器を蹴り、ベレトは辺りを見渡した。これで三人目。どうやら全員、先ほどの宿場にいた男のようだ。
(ふむ、蠍の刺青……奴らの仲間で間違いないようじゃな。油断するでないぞ)
ソティスの声に頷き、月から身を隠すように移動する。街道の方へ戻らなければ。彼は無事だろうか。
(ジェラルトの言葉を思い出せ)
あの子から目を離したのは間違いだったろうか。いや、しかし。
(確実に敵を減らす。……必ず、守ってみせる)
『ベレト、護衛をする時はな』
父の声が蘇った。戻った街道には血の匂いが充満している。そのまま足を止めず、ベレトは戦いの気配がする方へと走った。
『護衛対象から片時も離れちゃならねえ、と思うだろう?』
Satsuki
CAN’T MAKE〇レトユリレト支援C妄想。去年の九月ごろからぼんやり練ってた話をようやく形にしました。捏造しかない。支援Cなのでカプ要素もないです。ポイピクだと文字制限にひっかかったようなので二つに分けます。燕と悪魔は夜を飛ぶ「あんたはここで待っていてくれ」
トン、と指先で胸を叩かれて、ベレトは立ち止まった。ユーリスは射るような眼差しでベレトを一瞬貫くと、数人の部下たちに短く指示を残して扉の向こうへ消えて行く。きっと気付いたはずだ。ベレトの、『いいや、中まで一緒に行こう』と言いたげな視線には。しかし敢えて目を逸らし、口を開く隙さえ与えず、彼はローブを翻すと独りきりで行ってしまった。
(見たことのない顔をしていた……)
あの眼光。殺気。威圧感。あれが、賊の頭領としての彼なのか。
ベレトは置いて行かれた場所で周囲を窺った。ユーリスを案内していった男は一人。入って行った部屋の中にはユーリス以外に三人以上の気配がある。そのうちの一つが、恐らくは『蠍の刺青』の頭なのだろう。
6685トン、と指先で胸を叩かれて、ベレトは立ち止まった。ユーリスは射るような眼差しでベレトを一瞬貫くと、数人の部下たちに短く指示を残して扉の向こうへ消えて行く。きっと気付いたはずだ。ベレトの、『いいや、中まで一緒に行こう』と言いたげな視線には。しかし敢えて目を逸らし、口を開く隙さえ与えず、彼はローブを翻すと独りきりで行ってしまった。
(見たことのない顔をしていた……)
あの眼光。殺気。威圧感。あれが、賊の頭領としての彼なのか。
ベレトは置いて行かれた場所で周囲を窺った。ユーリスを案内していった男は一人。入って行った部屋の中にはユーリス以外に三人以上の気配がある。そのうちの一つが、恐らくは『蠍の刺青』の頭なのだろう。