はごろも
DOODLESSお題から。『明日を考えよう』だったので、明日すら恐ろしい八色さんを約束で言い聞かせる一十さん。
夜の帳の外し方いつからだろうか。
夜というものが恐ろしくなったのは。
戦場では、夜というものは恐怖の象徴でしかない。
いつ何時、うたた寝をしている目の前に、自らの死を継げる爆弾が投げ込まれるかわからないからだ。
寝ている時に一思いに死ねたらまだ幾分幸せだろう。
直前に起き、恐怖のうちに炎に包まれ、生き残ってしまったものは、いっそ殺してくれと泣きわめく。
ただれた肌で、水がほしいと天を掻き、ろくに見えぬ目から膿とも涙ともつかぬものを流して、苦しむ。
寝て起きてそのようなものが居ないことを、願う事しかできないのだ。
いくら上級軍人と言えど、前線で指揮をとる以上、安全な場所なんてものはない。
無論、前線の防空壕の中で、交代で見張る者たちよりは安全ではあるのだけれど。
2149夜というものが恐ろしくなったのは。
戦場では、夜というものは恐怖の象徴でしかない。
いつ何時、うたた寝をしている目の前に、自らの死を継げる爆弾が投げ込まれるかわからないからだ。
寝ている時に一思いに死ねたらまだ幾分幸せだろう。
直前に起き、恐怖のうちに炎に包まれ、生き残ってしまったものは、いっそ殺してくれと泣きわめく。
ただれた肌で、水がほしいと天を掻き、ろくに見えぬ目から膿とも涙ともつかぬものを流して、苦しむ。
寝て起きてそのようなものが居ないことを、願う事しかできないのだ。
いくら上級軍人と言えど、前線で指揮をとる以上、安全な場所なんてものはない。
無論、前線の防空壕の中で、交代で見張る者たちよりは安全ではあるのだけれど。
はごろも
DOODLE公式で「一十さんは話の通じない本当の悪霊に出会ったら恐怖で固まるかもしれない」とあったので、八色さんはマジで気が気じゃないだろうな、と思って書いた漫画。何に対しても優しい人だから、怖がらないけど逃げられもできなさそう。 2
はごろも
DOODLE八色さんが一十さんをもし突き刺すような事があったら、悪夢に見る事もあったのかなあ、とか思ってできた小話。弱っている推しはかわいいですね。
悪夢を見る八色さんの話ここは、どこや。
ぱちりと目を開け、辺りを見回す。
不気味なほど暗く、何もない空間だ。
まるで、この空間だけ世界に置き去りにされてしまったかのような。
その中で、自分の体だけが取り残されている。
手足を動かすも、問題はない。こつりといやに自分の革靴の音が響いた気がした。
こつ、こつ。何もない空間を歩く。そんな中。
ぬぼ、と、真っ暗闇の空間なのにも関わらず、人の形をとった黒い靄が、揺らめきながらその場に現れた。
「…!?物の怪か…!!!」
腰に手をやる。かちゃりと自分の刀が重なる音に安堵しながら、暗闇の中佇む靄をにらみつける。
靄の中にぼんやりと浮かぶふたつの空洞。あれが目なのだろう。それがこちらに気が付いたように、のっそりと向けられた。
1952ぱちりと目を開け、辺りを見回す。
不気味なほど暗く、何もない空間だ。
まるで、この空間だけ世界に置き去りにされてしまったかのような。
その中で、自分の体だけが取り残されている。
手足を動かすも、問題はない。こつりといやに自分の革靴の音が響いた気がした。
こつ、こつ。何もない空間を歩く。そんな中。
ぬぼ、と、真っ暗闇の空間なのにも関わらず、人の形をとった黒い靄が、揺らめきながらその場に現れた。
「…!?物の怪か…!!!」
腰に手をやる。かちゃりと自分の刀が重なる音に安堵しながら、暗闇の中佇む靄をにらみつける。
靄の中にぼんやりと浮かぶふたつの空洞。あれが目なのだろう。それがこちらに気が付いたように、のっそりと向けられた。