hoshinami629
MOURNINGアリスと火村がフランスの思想家、シオランの著作を読んでお互いについてあれこれ考えたりする話を書こうとして難しくてやめた。CPとかないです。詳しくは→https://fusetter.com/tw/1aBgG9Fh
シオランを読む二人「もしもし片桐さん、有栖川ですけど」
長い夏が終わりつつある、九月末の某日だった。簡単な昼食を終えた後、コーヒーを飲みながら溜まった郵便物を開封していた時だった。これは捨て、これは返信、などと言いながら捌いていたところ、不思議なことに立ち至ったのである。
「——うん?」
珀友社の担当編集者、片桐の名前で送られて来た封筒を開けて、私の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。封筒の中に入っていたのは、『現代の思想』という人文系学術誌の新刊。推理小説畑の私には、とんと縁のない雑誌だ。封筒の中を再度検分し、雑誌自体もペラペラとめくってみたが、片桐さんが送って来た理由が分かるようなメモ書きなども見当たらない。
何かの手違いであれば、返却なり転送なりをする必要があるのではないか。手違いにしても釈然としないが、とも思いながら、片桐さんに電話してみることにした。
2898長い夏が終わりつつある、九月末の某日だった。簡単な昼食を終えた後、コーヒーを飲みながら溜まった郵便物を開封していた時だった。これは捨て、これは返信、などと言いながら捌いていたところ、不思議なことに立ち至ったのである。
「——うん?」
珀友社の担当編集者、片桐の名前で送られて来た封筒を開けて、私の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。封筒の中に入っていたのは、『現代の思想』という人文系学術誌の新刊。推理小説畑の私には、とんと縁のない雑誌だ。封筒の中を再度検分し、雑誌自体もペラペラとめくってみたが、片桐さんが送って来た理由が分かるようなメモ書きなども見当たらない。
何かの手違いであれば、返却なり転送なりをする必要があるのではないか。手違いにしても釈然としないが、とも思いながら、片桐さんに電話してみることにした。