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    hoshinami629

    @hoshinami629

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    PROGRESSトラオクヴァールに甘いロゼマさんに不機嫌になるフェルさんが書きたかったんだけど、この時点で既にブルーメフェルトが二回くらい更地になりそう。この後どういう展開にすれば良いか思い浮かばないのでここに上げておきます(展開思いついたら続き書きます)
    ブルーメフェルト更地になりそう ブルーメフェルトとコリンツダウムから連名で会食の招待を受けたのは、ローゼマインとフェルディナンドが星結びの儀式を終えた、翌日のことだった。ようやくローゼマインの夫となったフェルディナンドは、昨日の夜から濃紺のマントを身につけている。彼の望んだ刺繍入りのマントを手渡すことができて、ローゼマインは無類に嬉しい。が、領主会議の期間中は、そのような浮かれたことは言っていられない。何せ社交に次ぐ社交で、予定が会議と会食のミルフィーユ状態だからだ。
     今回の領主会議における大きな議題は、国境門の開門に関してである。外患誘致が建領の理由となっているエーレンフェストやアレキサンドリアは開門を求めない予定だが、ハウフレッツェやギレッセンマイヤー、クラッセンブルクはツェントに開門を求めた。ハウフレッツェとクラッセンブルクは外国との取引を再開したいからというよりも、寧ろ海水の減少を苦慮してのことであったらしい。これについてはアレキサンドリアも他人事ではないので、最近ではもっぱら国境門と境界門が海水にどのような影響を与えるのかを領内で研究中だ。
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    hoshinami629

    CAN’T MAKE禁軍右軍がわんこを拾って……という話。友尚は拾って来るくせに自分で引き取ったりしない男なのだ、という部分を書いたら満足した+この後犬が死んで阿選が何とも言えない気持ちになる、というエンドしか思い浮かばなくて辛い。続き書けそうなら書きますが……書いてて辛い……。
    禁軍右軍が犬を拾った 先王の命で江州へと進軍した、その帰りの道だったと思う。一匹の犬が隊の後ろをついて来た。飢えた野犬が人影を認めて近付いて来るのは、割合に良くあることだ。最初は麾下の一人が軽い気持ちで糧秣を分けてやっていた。帰投の途に就けば兵卒というものは、無事に終わったという安堵と、命あるものには優しくしてやりたいという感傷と、その両方を抱えるものだ。戯れに皆が犬の面倒をみたのも、そうした空気ゆえに発生した偶発的な出来事だった。
     犬はそれに味を占めてか、それとも習性ゆえに群れに混じりたいと思ってか、まるで一兵卒のように軍の中へ入り込むようになった。時は秋の終わり、初雪の降る前に鴻基へ到着したいと、誰も彼も気が急いていた。通常の進軍よりも速度を上げて、街道を踏破してゆく。肋の浮いた体格の良くない犬だから、途中で脱落するに違いない。そう思っていたが不思議と持ち堪えて、その犬はとうとう鴻基までついて来てしまった。今更何処へなりと行けと放したところで、絶対に纏わりついて来る。そのことは指揮官から兵卒まで、江州から戻った右軍の全員が理解していた。
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    hoshinami629

    CAN’T MAKE親鸞の太子信仰について小説を書きたいと思って途中まで頑張ったけど放置したもの、いつか書きたいけど、私の勉強が足りない……。
    親鸞と聖徳太子六角堂、頂法寺と言えば、都の中心であると豪語して憚る事の無い、由緒ある寺である。何でも縁起によれば他田(おさだ)の帝の御時、かの聖徳太子の念持仏であった如意輪観音が、衆生済度の為に御自らこの地を選ばれ、それを知った聖徳太子が御堂を建立したと伝えられて居る。この地が都として体裁を整えるずっと以前から存在する寺だと、誰もが信じて疑わない。そしてそんな由緒だけでは無い、貴賤老若男女を問わず様々な者がごった返す、騒がしい寺でもある。観音験を見する寺、と今様に詠われた霊場、しかも長谷や近江の粉河寺よりも、京の人々からすればぐんと近い。観音の霊験にあやかろうとする都の者の多くが、この寺へ参籠した。
    さて、その六角堂に数多訪れる参籠者の中にも、近頃一際目立つ者が居る。三十に届くか届かないかといった年齢の僧侶である。百日参籠を、と頑なな様子で寺の者に告げ、昼夜を問わず、食事も一日一膳のみにて一心に祈念するというだけで、まず只者では無い。しかしそれだけであるならば、まだ珍しいという程ではない。意外であるのは、その者が比叡の堂僧であるらしいという事だ。何も山の者であるならば、態々六角堂くんだりまで下りて来ずとも、幾らでも祈念も修行も出来ようというものである。どの様な事情が抱えて参籠しているのか、寺の者達は好奇の目で盗み見、囁き合った。加えて更に奇異なのは、彼の許には毎晩、即ち参籠した日数だけ、匂い立つような雅な文が届けられるという事である。勿論、山門の堂僧と思しきその参籠者は文を受け取らない。五通は十通、十通は二十通にと、段々とその数が増える毎に、寺の者の困惑と焦りも深まった。これではまるで深草少将の百夜通いを反転させたかの様で、不気味であった。返事を出す処か読もうともしない当人に、寺の者が困って手渡そうとすると、燭の火で燃やされてしまった。口を真一文字に結び、ただむっつりとした様子で、何通もの文が燃える処を見収めると、彼はまた一心祈念の心に戻る。その様子に、何やら鬼気迫る者を感じ、僧侶共は不安げに噂し合った。やれ近頃山にて頻繁に起こる、稚児を巡った諍いに巻き込まれたのではないか。やれ実は貴人の子なるが、拠所無き事情で出家したものの、今となって還俗を迫られて居るのではないか。その様な、まことしやかでもあり、それでいて上滑りの観を出ない茫洋とした噂が、寺の中を薄く漂って居た。
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    hoshinami629

    MOURNING支部にある「視爾夢夢」からカットしたもの。サンプルにはこの部分も載っていた気がする。結局、李斎や回生、耶利のことを追い切れないと思ってカットしてしまいましたが、何か勿体なかった気もする。でも、李斎のこれからについて考えるには、阿選を討つよりももっと時間が必要な気がして……。
    視爾夢夢没供養①「李斎」
     朝堂を出た処で、後ろから声が掛かる。振り返れば、其処にいたのは先程壇上に座していた李斎の主公だった。先程の視線の意味を思い出しかけたところで、機先を制する形で驍宗が言葉を継ぐ。
    「少し、話があるのだが。――この後の予定は?」
     特に急用や面会の約束も無かった為、首を横に振る。参ります、と答えて踵を返す。驍宗が執務を行う書房へ歩を進めながら、李斎は用向きを半ば予想し、半ば摑めず、隣を歩く主を見た。
    「主上、恐れながら……。先程の軍議については、お気を病まれませぬよう。私が鴻基攻略に当たれないのは、私も皆も承知の上ですし……」
     驍宗はその言葉にすぐには答えず、相槌を一つ打って後は黙々と書房へ向かう。心配して下さっているのだろうか、と何となく思いながら、李斎も矢張り黙した儘、複雑な気持ちで王に従った。
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    hoshinami629

    PROGRESSロゼマさんがフェルさんのマントに本気で刺繍するために、色んな人と関わりながら作業を進める話が書きたいな〜みたいな感じの話。レティーツィア視点、ユストクス視点、ローゼマイン視点、フェルディナンド視点まで書けたら完成ですが完成する気がしないのでとりあえずここに上げておく。
    マントに刺繍しよう(仮) アレキサンドリアで暮らしていると、なかなか秋が深まらないと感じる。暑くもなく寒くもない、ある意味では過ごしやすい日がいつまでも続く。一応、冬には雪も降るらしいけど、積もったところは見たことがないと近所の人達から聞いた。冬支度もエーレンフェストより、ずっと簡単に済むらしい。何なら、天気さえ良ければ真冬でも市が立つと聞いた。そんな風に初めての土地の気候について話しながら、私と母さんは、繕い物の準備をしていた。
    「こちらだと冬の支度が楽で良いわね」
     母さんの言葉に頷きながらテーブルを拭き、布地を広げたところで、ガチャ、というあの音が聞こえた。続いて、隠しきれない弾んだ足音。
    「あ、マインだ」
     私が言えば、母さんも笑って頷く。ちょうど貰い物のピルネが残っていたので、それを皿に盛る。夏以来の習慣で作り置いていたお茶をカップに注いだあたりで、背後から、ただいま! の声が聞こえた。
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