sabasavasabasav
DONEタイヤム。祝祭6のエアスケブでした。解放軍本拠地でのしっとりとした夜。両片思い?どちらも初書き、上手く書けたか不安でいっぱい。
▽
月が湖に沈む夜だった。
風は止み、水面は息をひそめるように静かだった。騒がしかった城も、深夜には蝋燭の灯が遠のき、わずかに波音だけが残る。
本拠地の入口に面した、波止場に併設されている掘っ立て小屋。湖に向けて開かれた縁側で、タイ・ホーはひとり、酒を呷っていた。茅色の着流しは肩をはだけ、脇に置かれた徳利には、まだぬる燗の香りが漂っている。
「なあ、ヤム・クー。おまえ、この城が沈む夢って、見たことあるか」
不意に、低く嗄れた声が背を向けたまま問うた。
呼ばれるまでもなく、そこにヤム・クーがいることは分かっていたのだろう。背後の気配に目も向けず、タイ・ホーは杯を口に運ぶ。
2062月が湖に沈む夜だった。
風は止み、水面は息をひそめるように静かだった。騒がしかった城も、深夜には蝋燭の灯が遠のき、わずかに波音だけが残る。
本拠地の入口に面した、波止場に併設されている掘っ立て小屋。湖に向けて開かれた縁側で、タイ・ホーはひとり、酒を呷っていた。茅色の着流しは肩をはだけ、脇に置かれた徳利には、まだぬる燗の香りが漂っている。
「なあ、ヤム・クー。おまえ、この城が沈む夢って、見たことあるか」
不意に、低く嗄れた声が背を向けたまま問うた。
呼ばれるまでもなく、そこにヤム・クーがいることは分かっていたのだろう。背後の気配に目も向けず、タイ・ホーは杯を口に運ぶ。
はねた
PASTむかし書いた幻水2の、タイヤムでした空の青さを海はうっそりとして音もない。
波間を縫って輝く陽が目を射るのに、ヤム・クーはゆっくりと額に手をかざした。
青くさわやかな空、雲ひとつないそこに点々とちいさく黒い染みが落ちているのは鳥でも飛んでいるのだろうか。
舟は波を蹴立てて進む。もはやすぐそこに、クスクスの町は迫っていた。
広大なデュナン湖のまわりを囲み点在する都市や町、そのなかでもわりあいに栄えた街である。その証をたてるように港には大小の船がぎっしりと停泊していて、どれもひと待ち顔にゆらりゆらりとゆらめく波に揺られていた。
白陽が照りつけ、黒ぐろとした舟影が水のうえに踊る。
一週間の航海は漁師にとってさほど長いものでもないが、それでも陸地が見えるとなにがなしほっとするのが我ながらおもしろい。
2958波間を縫って輝く陽が目を射るのに、ヤム・クーはゆっくりと額に手をかざした。
青くさわやかな空、雲ひとつないそこに点々とちいさく黒い染みが落ちているのは鳥でも飛んでいるのだろうか。
舟は波を蹴立てて進む。もはやすぐそこに、クスクスの町は迫っていた。
広大なデュナン湖のまわりを囲み点在する都市や町、そのなかでもわりあいに栄えた街である。その証をたてるように港には大小の船がぎっしりと停泊していて、どれもひと待ち顔にゆらりゆらりとゆらめく波に揺られていた。
白陽が照りつけ、黒ぐろとした舟影が水のうえに踊る。
一週間の航海は漁師にとってさほど長いものでもないが、それでも陸地が見えるとなにがなしほっとするのが我ながらおもしろい。