_akihc
DOODLEパライソのタイトルを眺めていたら思い浮かんだ掌編です。(刀ミュは一切関係ありません)審神者に特別な設定はありません。
審神者→豊前江 風味。
十三夜の約束「今日は月が明るいな」
開け放った戸の間から空を見上げて、豊前江が口にした。
審神者は目線を手元に落としたまま、そうですね、と相槌を打つ。はらりと吹き込んできた風に、彼女の手元を照らす灯りがわずかに揺れた。
「十三夜ですし」
「ああ、今日の栗料理は美味かったな」
片見月をよしとしない風流な面々によって、今夜の夕食には団子や栗料理などが振舞われた。
桑名江を中心にして育てられた旬の食材はいずれも美味で、それらは月を愛でる間もなくなくなっていった。
「クレーターっつったっけ?窪みまで見える気がする」
「月といえば、土地の名前も面白いですよ。蛇の谷、喜びの湖、虹の入江…」
「主は月に行ったことあんのか?」
「いいえ、土産話は聞いたことありますが」
1720開け放った戸の間から空を見上げて、豊前江が口にした。
審神者は目線を手元に落としたまま、そうですね、と相槌を打つ。はらりと吹き込んできた風に、彼女の手元を照らす灯りがわずかに揺れた。
「十三夜ですし」
「ああ、今日の栗料理は美味かったな」
片見月をよしとしない風流な面々によって、今夜の夕食には団子や栗料理などが振舞われた。
桑名江を中心にして育てられた旬の食材はいずれも美味で、それらは月を愛でる間もなくなくなっていった。
「クレーターっつったっけ?窪みまで見える気がする」
「月といえば、土地の名前も面白いですよ。蛇の谷、喜びの湖、虹の入江…」
「主は月に行ったことあんのか?」
「いいえ、土産話は聞いたことありますが」
しおん
DONE豊前江×女審神者オリジナル女審神者あり。
pixivに公開したものをこちらにも置いておきます。
豊前江ドライヤー苦手そうだなーと思って書き出したらただのイチャイチャ豊さにになった
濡れ髪の君と甘い私 夜の帳が降りて、賑やかな本丸が次第に静かになっていく頃
お風呂を終えて、漸く審神者の責務から解放される自由時間。
寝室も兼ねた自室で昔読んでいた雑誌を手に取って、なんとなくページを捲っていた。特にやることもないけれどなんとなく眠るには惜しく感じて、穏やかなひとり時間を満喫していた。雑誌には最近万屋近くにできた喫茶店の情報が出ている。明日は休みだから誰か誘っていくのもありかなーなんて考えが浮かぶ。
そんなとき、遠くから段々近づいてくる軽快な足音が聞こえてくる。それが聞き馴染んだ足音だと気づいて雑誌から顔を上げたとほぼ同時に、目の前の障子が勢いよく開いた。
「主、起きてっか!」
開いた障子の間には、主の部屋であるということや夜間であることへの遠慮を一切無視したことを何とも思っていないであろう豊前江が笑顔で立っていた。首にタオルをかけて、Tシャツにスエットというラフさから恐らく湯上り直後、そのままこちらへやってきたらしいことは見て取れた。部屋の灯りはついていることは気づいていただろうから寝てるとは思っていなかったにしても、もし就寝前だったらどうするつもりだったのだろうと僅かに眉を顰めてしまう。
4386お風呂を終えて、漸く審神者の責務から解放される自由時間。
寝室も兼ねた自室で昔読んでいた雑誌を手に取って、なんとなくページを捲っていた。特にやることもないけれどなんとなく眠るには惜しく感じて、穏やかなひとり時間を満喫していた。雑誌には最近万屋近くにできた喫茶店の情報が出ている。明日は休みだから誰か誘っていくのもありかなーなんて考えが浮かぶ。
そんなとき、遠くから段々近づいてくる軽快な足音が聞こえてくる。それが聞き馴染んだ足音だと気づいて雑誌から顔を上げたとほぼ同時に、目の前の障子が勢いよく開いた。
「主、起きてっか!」
開いた障子の間には、主の部屋であるということや夜間であることへの遠慮を一切無視したことを何とも思っていないであろう豊前江が笑顔で立っていた。首にタオルをかけて、Tシャツにスエットというラフさから恐らく湯上り直後、そのままこちらへやってきたらしいことは見て取れた。部屋の灯りはついていることは気づいていただろうから寝てるとは思っていなかったにしても、もし就寝前だったらどうするつもりだったのだろうと僅かに眉を顰めてしまう。