ige543kan
PROGRESS1/26 2冊目進捗④仔ゲゲにおいしもの食べさせたいだけ
分け合う一口(たい焼き)夕飯の買い出しを終えた帰り道、どこかから漂ってきた香ばしい匂いが鼻をくすぐった。
「いい匂いがするのう」
「あ、あれじゃないか、たい焼き屋」
「ほんとじゃ!」
指さした方に赤い暖簾を見つけると嬉しそうな声をあげるゲゲ郎。買って帰るか、と屋台の方に足を向けた。
店頭に示されている味は2つ。
「どっちにする?」
「今日はかすたぁどの気分じゃ」
「ん、じゃあ俺はつぶにするか」
店主に注文を伝えると、気のいい返事とともに型に生地が流し込まれていく。火が通るとふんわりと膨らんできて、それぞれの具が乗せられていく様を興味深そうにゲゲ郎が見ていた。たしかに、こうやって目の前で作られていく工程を見るのは面白い。
お待ちどお! とまた気のいい声とともたい焼きが紙に包まれて渡された。二人でお礼を言って、味が分かるようにと白いシールが貼らている方をゲゲ郎に渡す。
752「いい匂いがするのう」
「あ、あれじゃないか、たい焼き屋」
「ほんとじゃ!」
指さした方に赤い暖簾を見つけると嬉しそうな声をあげるゲゲ郎。買って帰るか、と屋台の方に足を向けた。
店頭に示されている味は2つ。
「どっちにする?」
「今日はかすたぁどの気分じゃ」
「ん、じゃあ俺はつぶにするか」
店主に注文を伝えると、気のいい返事とともに型に生地が流し込まれていく。火が通るとふんわりと膨らんできて、それぞれの具が乗せられていく様を興味深そうにゲゲ郎が見ていた。たしかに、こうやって目の前で作られていく工程を見るのは面白い。
お待ちどお! とまた気のいい声とともたい焼きが紙に包まれて渡された。二人でお礼を言って、味が分かるようにと白いシールが貼らている方をゲゲ郎に渡す。
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PROGRESS1/26 2冊目進捗③仔ゲゲにおいしもの食べさせたいだけ
かがやきを閉じ込めて (金平糖)いつもよりも軽い足取りで退社して家を目指す。
ちらりと仕事鞄の中を覗けば、かわいらしい桃色の巾着が目に入った。自分には似つかわしくないそれは、留守番してるいい子へのお土産だ。早く、早く帰って食べさせてやりたい。どんな反応をしてくれるだろうか。喜んでくれるだろうか。期待に胸を膨らませながら帰り道を急いだ。
「ただいま」と玄関の扉を開ければ、居間から「おかえり」とゲゲ郎が顔だけ出して迎えてくれる。靴を脱いで自分も居間へと入ると、鞄の中からずっと出番を待っていた桃色の巾着を取り出した。
「ほら、今日は土産があるぞ」
そう言って目の前にぶら下げれば、興味津々な視線が巾着へと注がれる。「手を出して」と言えばすぐ両手で皿を作ってくれた。本当に素直でいい子だな、と少し笑ってその上にぽんっと巾着を乗せてやる。
929ちらりと仕事鞄の中を覗けば、かわいらしい桃色の巾着が目に入った。自分には似つかわしくないそれは、留守番してるいい子へのお土産だ。早く、早く帰って食べさせてやりたい。どんな反応をしてくれるだろうか。喜んでくれるだろうか。期待に胸を膨らませながら帰り道を急いだ。
「ただいま」と玄関の扉を開ければ、居間から「おかえり」とゲゲ郎が顔だけ出して迎えてくれる。靴を脱いで自分も居間へと入ると、鞄の中からずっと出番を待っていた桃色の巾着を取り出した。
「ほら、今日は土産があるぞ」
そう言って目の前にぶら下げれば、興味津々な視線が巾着へと注がれる。「手を出して」と言えばすぐ両手で皿を作ってくれた。本当に素直でいい子だな、と少し笑ってその上にぽんっと巾着を乗せてやる。
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PROGRESS1/26 2冊目進捗②仔ゲゲにおいしいもの食べさせたいだけです
あたたかさと待ちぼうけ (おむすび) 「お腹がすいたのう……」
夕方の鳥が鳴き止んで、次第に鈴虫の音が聞こえてきた夜のはじまり。居間でぼうっと寝そべり天井を見上げながら呟く。
いつもなら夕餉を食べている時間だが、事情があって今日はまだだ。待っていようと思っていたが、いよいよ空腹を訴えた胃がぎゅぅっと鳴り出してしまった。
「……仕方ない、あれをいただくとしようかの」
よっこいしょ、と体を起こして台所へと向かう。
扉を開ければ、そこにはラップのかけられた皿が台の上に一つ置かれていた。それを持って居間へと戻る。
座卓にそれを置き、いただきます、と手を合わせてからラップを剥がせば、中にはおむすびが二つ入っていた。
これは今朝、帰りが遅くなりそうだからもし腹が減ったら食べてくれ、と水木が握っていってくれたものじゃった。片方は真っ白で、もう片方には海苔が巻かれている。
1053夕方の鳥が鳴き止んで、次第に鈴虫の音が聞こえてきた夜のはじまり。居間でぼうっと寝そべり天井を見上げながら呟く。
いつもなら夕餉を食べている時間だが、事情があって今日はまだだ。待っていようと思っていたが、いよいよ空腹を訴えた胃がぎゅぅっと鳴り出してしまった。
「……仕方ない、あれをいただくとしようかの」
よっこいしょ、と体を起こして台所へと向かう。
扉を開ければ、そこにはラップのかけられた皿が台の上に一つ置かれていた。それを持って居間へと戻る。
座卓にそれを置き、いただきます、と手を合わせてからラップを剥がせば、中にはおむすびが二つ入っていた。
これは今朝、帰りが遅くなりそうだからもし腹が減ったら食べてくれ、と水木が握っていってくれたものじゃった。片方は真っ白で、もう片方には海苔が巻かれている。
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PROGRESS1/26 2冊目進捗仔ゲゲに美味しいもの食べさせたいシリーズ①
※細かいこと気にせずにお楽しみください
深夜の罪 なんとなく、そう、なんとなく眠れない日じゃった。
昼寝をしすぎたせいじゃろうか。夜も深まってきたというのに目が冴えてしまって全然眠れる気配がしない。
そうしていると今度は腹が空いてくるもので、この空腹を満たさなければ眠れないような、そんな落ち着かない気持ちになる。もぞもぞとしていると隣で眠る水木から声をかけられた。
「眠れないのか?」
「ん……すまぬ、起こしてしまったな」
「別に構わねぇよ。……怖い夢でも見たのか?」
頬を撫でられながらそう心配そうな顔で見られ、本当にやさしい男じゃな、と胸の奥があたたかくなる。
いや、そういうわけではな無いんじゃが……と言えば安心したように肩を落とした。
「その、なんとなく腹が空いてしまって……」
2309昼寝をしすぎたせいじゃろうか。夜も深まってきたというのに目が冴えてしまって全然眠れる気配がしない。
そうしていると今度は腹が空いてくるもので、この空腹を満たさなければ眠れないような、そんな落ち着かない気持ちになる。もぞもぞとしていると隣で眠る水木から声をかけられた。
「眠れないのか?」
「ん……すまぬ、起こしてしまったな」
「別に構わねぇよ。……怖い夢でも見たのか?」
頬を撫でられながらそう心配そうな顔で見られ、本当にやさしい男じゃな、と胸の奥があたたかくなる。
いや、そういうわけではな無いんじゃが……と言えば安心したように肩を落とした。
「その、なんとなく腹が空いてしまって……」