papa_matsu
SPOILERぽぷおさんのお題「小動物と触れ合うあしつつ」#あしつつワンドロ・ワンライ蛮族
犬午前十一時半、錆びた校門に左手を掛けた葦宮は、ゼェ、と疲労感たっぷりの溜息を吐く。
背中にひしひしと感じる生徒達の視線が鬱陶しい。逃れることは難しくもないが、この男の前で余分な隙を見せたくはなかった。
「……」
雨でも降るのだろうか、燻る煙草の煙の向こうでは表情が窺い知れない。ちぃ、と思いの外大きく舌打ちが響き、白髪混じりの頭が揺れる。
とうに分かっていただろうに、さも今存在に気が付いたと言わんばかりに振り返る津詰は、こちらの神経を逆撫でする間抜け面を晒していた。
「おいおい、人の顔見て舌打ちは失礼だろ」
「うるっせえなア…お前さん霞ヶ関勤務だろうよ、何だってこんな頻繁に来やがるかねェ」
「お前さんが真っ当に生きてさえくれりゃ俺もお役御免なんだがな」
1481背中にひしひしと感じる生徒達の視線が鬱陶しい。逃れることは難しくもないが、この男の前で余分な隙を見せたくはなかった。
「……」
雨でも降るのだろうか、燻る煙草の煙の向こうでは表情が窺い知れない。ちぃ、と思いの外大きく舌打ちが響き、白髪混じりの頭が揺れる。
とうに分かっていただろうに、さも今存在に気が付いたと言わんばかりに振り返る津詰は、こちらの神経を逆撫でする間抜け面を晒していた。
「おいおい、人の顔見て舌打ちは失礼だろ」
「うるっせえなア…お前さん霞ヶ関勤務だろうよ、何だってこんな頻繁に来やがるかねェ」
「お前さんが真っ当に生きてさえくれりゃ俺もお役御免なんだがな」
Yako_san8
DONEあしつつワンドロ・ワンライ蛮族チャレンジ…!途中眠りかけちゃってェ…、結局2時間くらいかかっちゃってェ……。もういいよね…?というコトでサクッと投げておきます。お題は《公衆電話》お借りしたのですが、内容は『なぜか津さん家(奥さん&娘が出ていった一軒家)に葦が居候してる』という謎時空設定でのお話です。本当に謎でごめんね……。繋ぐ声 ・あしつつワンドロ・ワンライ お題:《公衆電話》
「……もしもし、」
無機質に響く呼び出し音にも飽き、そろそろ受話器を置こうかと離しかけた耳にかすかな男の声が届いた。
「―おう、帰ってたか。……俺だけどよ」
再度受話器を耳に寄せた津詰は相手の反応などお構いなしに尋ねる。
「何か買って帰るモンあるか……?」
沈黙の続く受話器の向こうから聞えよがしな溜息が伝わってきた。
すっかり日の落ちた街角で常夜灯に照らされる緑色の電話機の台に凭れながら、刑事の男は掌上の十円玉数枚をジャラと鳴らし、苛ついたように声を低める。
「だから、必要なモンがあんのかないのかって聞いてんだよ!―早くしろ、小銭がもったいねえ」
今度の沈黙にはやや逡巡するような間があった。数秒してから素っ気無い声が返ってくる。
2806「……もしもし、」
無機質に響く呼び出し音にも飽き、そろそろ受話器を置こうかと離しかけた耳にかすかな男の声が届いた。
「―おう、帰ってたか。……俺だけどよ」
再度受話器を耳に寄せた津詰は相手の反応などお構いなしに尋ねる。
「何か買って帰るモンあるか……?」
沈黙の続く受話器の向こうから聞えよがしな溜息が伝わってきた。
すっかり日の落ちた街角で常夜灯に照らされる緑色の電話機の台に凭れながら、刑事の男は掌上の十円玉数枚をジャラと鳴らし、苛ついたように声を低める。
「だから、必要なモンがあんのかないのかって聞いてんだよ!―早くしろ、小銭がもったいねえ」
今度の沈黙にはやや逡巡するような間があった。数秒してから素っ気無い声が返ってくる。