ピカ@rstm
MOURNING【星座パロ】補佐組(?)寄稿予定でしたが、恐らく日の目を見なさそうなので供養します。
星座のモチーフや神話とラス為キャラを組み合わせたパロディ企画のおまけSS。これはパロディではないです。
元原稿から若干修正しています。
その相性は占わずとも「おや。ステイル様にしては珍しい分類の書物ですね」
ステイルが姉妹との休息時間を終え、ヴェストの執務室に戻ってすぐのこと。ジルベールの指摘にそういえばとステイルは瞬間移動で部屋に移すことを忘れていた本の存在を思い出した。
「ええ、まあ。先程ティアラから是非にとすすめられたもので」
表面上はにこやかに返し、ステイルはその本を手に取った。ヴェストがいる手前、目ざといジルベールを特に理由なく睨みつけるのは控える。普段目を通す機会はない分類なのは本当だった。
執務室を出た時は本を二冊手にしていたステイルが今しがた自分の机に置いた本は三冊。うち二冊は持ち出し可の王配業務関連の資料だが、増えた一冊は星座にまつわる書物だった。
1679ステイルが姉妹との休息時間を終え、ヴェストの執務室に戻ってすぐのこと。ジルベールの指摘にそういえばとステイルは瞬間移動で部屋に移すことを忘れていた本の存在を思い出した。
「ええ、まあ。先程ティアラから是非にとすすめられたもので」
表面上はにこやかに返し、ステイルはその本を手に取った。ヴェストがいる手前、目ざといジルベールを特に理由なく睨みつけるのは控える。普段目を通す機会はない分類なのは本当だった。
執務室を出た時は本を二冊手にしていたステイルが今しがた自分の机に置いた本は三冊。うち二冊は持ち出し可の王配業務関連の資料だが、増えた一冊は星座にまつわる書物だった。
ピカ@rstm
MOURNING【星座パロ】ステイル×魚座寄稿予定でしたが、恐らく日の目を見なさそうなので供養します。
星座のモチーフや神話とラス為キャラを組み合わせたパロディ。元原稿から若干修正しています。
ステイルが腕を持ち上げると、ジャラ……と耳障りな音がした。装飾も施されている手錠の鎖は細く、鎖部分だけを見れば街の大人が使う道具で簡単に切断できそうに見える。
(まあ、きっと無理だろうけど)
長く続く鎖の片方が、例えば母親に繋がっていたら、魚座の親子のように引き離されずにいられたのに。
プライドに気に入られる摂政になるまでは完全に断たれたままだと思っていたものは、一枚の手紙と共にまた結び直された。
プライドが繋いでくれたそれは鎖よりもずっと細細く、長い。相手とは違う方向へ行こうとも、自分の道を進むことができる──どこまでも伸びていく繋がりだ。
未だ寂しさも、振り返りたくなる郷愁もあるけれど。
(大丈夫、繋がっている)
387(まあ、きっと無理だろうけど)
長く続く鎖の片方が、例えば母親に繋がっていたら、魚座の親子のように引き離されずにいられたのに。
プライドに気に入られる摂政になるまでは完全に断たれたままだと思っていたものは、一枚の手紙と共にまた結び直された。
プライドが繋いでくれたそれは鎖よりもずっと細細く、長い。相手とは違う方向へ行こうとも、自分の道を進むことができる──どこまでも伸びていく繋がりだ。
未だ寂しさも、振り返りたくなる郷愁もあるけれど。
(大丈夫、繋がっている)
ピカ@rstm
MOURNINGステ誕2023のカット部分。こういうの楽しいから書いちゃうけど、どう考えても蛇足になるのでやめた。
サラサラと護衛の配置を書き留める手が最後の一ページにたどり着いてようやく止まる。
こんなものかと軽く息をついて、ステイルは端から配置を再確認した。ヴェストからこの仕事を任されるようになって数年経つが、式典の規模や来賓の数によって当然変わる。
西の最も大きい宮殿は人手を集中させた甲斐あって、遠方の王族を迎え入れる準備は整ったこと。ただしその宮殿を利用する国は占を重んじており、先んじて宮殿を整えるために入城した占い師が、今日の日暮れになって「やはり全ての窓は紺のカーテンで覆われていなければならない」と言い出したこと。対応すべきか否か。対応が必要な場合は人手要請とのこと。
287こんなものかと軽く息をついて、ステイルは端から配置を再確認した。ヴェストからこの仕事を任されるようになって数年経つが、式典の規模や来賓の数によって当然変わる。
西の最も大きい宮殿は人手を集中させた甲斐あって、遠方の王族を迎え入れる準備は整ったこと。ただしその宮殿を利用する国は占を重んじており、先んじて宮殿を整えるために入城した占い師が、今日の日暮れになって「やはり全ての窓は紺のカーテンで覆われていなければならない」と言い出したこと。対応すべきか否か。対応が必要な場合は人手要請とのこと。
ピカ@rstm
MOURNING『アイビーを抱いて』のフリージアにかつて義弟殉葬文化(とっくの昔に廃止済み)があったらで思いついたステイル視点の一文。結局設定ごとボツ。でもかなり好みの文にできたしどこにも再利用できないので載せちゃう。
羨ましいとすら、苦く思う。プライドを追い、プライドの元へ、他ならぬ彼女自身の意思で──あちらに呼んで、くれたなら。
57ピカ@rstm
MOURNING『アイビーを抱いて』のステイル視点とプライド様視点の没差分。こちらの方が救いがあります。当社比。本よりもメリバ寄り。
初めは温かさを感じているこちらで進めてましたが、夢は夢だなぁ……と変更しました。
心の求めるままに手を伸ばして――投げ出されたプライドの左手首を掴んだ。
ようやく捉えた体温は、泣きそうになるほど温かい。
何十回と伝えた言葉だ。そして、この先何百回と伝えたかった言葉だった。
もうこれが、最後の一回。
「傍に、います」
今度こそ届いたステイルの声に、プライドがほんの少し手首を見るような仕草をした。風に煽られた髪の下は影が深く落ち、その表情は終ぞ見えなかったけれど。
届いたのなら。傍にいられるのなら。それでもかまわないと、ステイルはプライドをかき抱いた。
***
星空へも別れを告げるように目を閉じた。
どうしてか、ほんの少しだけ左手首が温かく感じたけれど。
きっと、そんなの、気のせいだろう。
309ようやく捉えた体温は、泣きそうになるほど温かい。
何十回と伝えた言葉だ。そして、この先何百回と伝えたかった言葉だった。
もうこれが、最後の一回。
「傍に、います」
今度こそ届いたステイルの声に、プライドがほんの少し手首を見るような仕草をした。風に煽られた髪の下は影が深く落ち、その表情は終ぞ見えなかったけれど。
届いたのなら。傍にいられるのなら。それでもかまわないと、ステイルはプライドをかき抱いた。
***
星空へも別れを告げるように目を閉じた。
どうしてか、ほんの少しだけ左手首が温かく感じたけれど。
きっと、そんなの、気のせいだろう。