ステイルが腕を持ち上げると、ジャラ……と耳障りな音がした。装飾も施されている手錠の鎖は細く、鎖部分だけを見れば街の大人が使う道具で簡単に切断できそうに見える。
(まあ、きっと無理だろうけど)
長く続く鎖の片方が、例えば母親に繋がっていたら、魚座の親子のように引き離されずにいられたのに。
プライドに気に入られる摂政になるまでは完全に断たれたままだと思っていたものは、一枚の手紙と共にまた結び直された。
プライドが繋いでくれたそれは鎖よりもずっと細細く、長い。相手とは違う方向へ行こうとも、自分の道を進むことができる──どこまでも伸びていく繋がりだ。
未だ寂しさも、振り返りたくなる郷愁もあるけれど。
(大丈夫、繋がっている)
違う方向を見ていても、別れたあの日からずっと遠くへ歩いて行っても。月一回と年一回、手紙をやり取りするごとに繋がりを紡いでいけるのだ。