サラサラと護衛の配置を書き留める手が最後の一ページにたどり着いてようやく止まる。
こんなものかと軽く息をついて、ステイルは端から配置を再確認した。ヴェストからこの仕事を任されるようになって数年経つが、式典の規模や来賓の数によって当然変わる。
西の最も大きい宮殿は人手を集中させた甲斐あって、遠方の王族を迎え入れる準備は整ったこと。ただしその宮殿を利用する国は占を重んじており、先んじて宮殿を整えるために入城した占い師が、今日の日暮れになって「やはり全ての窓は紺のカーテンで覆われていなければならない」と言い出したこと。対応すべきか否か。対応が必要な場合は人手要請とのこと。