3kan_V
DOODLE姉上の婚約者を消して手に入れようとするお話です。陶酔窓から眺める夜の街は、まるで腐った夢を包み込むように重たく沈んでいた。
ガス灯が薄い霧の中にぼんやりと浮かび上がり、不吉な色で染め上げていく。
リチャードは、冷たい硝子を指先でじっとなぞった。指のひらひらとした跡が、まるで誰かが触れたかのように残る。
その感触は、ひどく生々しく、脳裏に消えない。
「……姉さん」
その名を、吐息のように囁く。優しさの欠片もなく、ただ冷徹に響く声。
彼の唇に浮かぶ微笑みは、無邪気な子供のものではない。
いや、それどころか――悪魔の微笑みだ。
机の上には、すでに開かれた羊皮紙があり、そこに滲んだインクが暗く光っている。
鉄の匂いが鼻をつき、リチャードはその匂いを深く吸い込んだ。
彼の手がペンを取り、滑らせる。その動きは無駄のないものだった。
4078ガス灯が薄い霧の中にぼんやりと浮かび上がり、不吉な色で染め上げていく。
リチャードは、冷たい硝子を指先でじっとなぞった。指のひらひらとした跡が、まるで誰かが触れたかのように残る。
その感触は、ひどく生々しく、脳裏に消えない。
「……姉さん」
その名を、吐息のように囁く。優しさの欠片もなく、ただ冷徹に響く声。
彼の唇に浮かぶ微笑みは、無邪気な子供のものではない。
いや、それどころか――悪魔の微笑みだ。
机の上には、すでに開かれた羊皮紙があり、そこに滲んだインクが暗く光っている。
鉄の匂いが鼻をつき、リチャードはその匂いを深く吸い込んだ。
彼の手がペンを取り、滑らせる。その動きは無駄のないものだった。
3kan_V
DOODLEリチャ姉です。首絞めてます。誓い指先が、姉さんの首に触れた瞬間――甘い感覚が、ぞわりと背筋を駆け上がった。
細くて、白くて、柔らかくて。幼い頃、童謡を歌いながら手を繋いだあのぬくもりのまま。けれど、今度は違う。繋ぐんじゃない。縛り、止めるんだ。
「……姉さん」
私は囁く。愛おしくて、どうしようもなく憎らしい名前を。
姉さんの瞳が私を見上げる。驚きと困惑、そして恐怖の入り交じった目で。私は、その表情に陶酔する。
「やめて、リチャード……」
かすれた声が耳に届く。今はもう拒絶の言葉すらも己を加速させていく。
両手でぐっと、強く、丁寧に、その白い首を掴む。細い骨が、僕の掌の中で軋む音がした。
「君は、私のものだ。私だけの、姉さんだろう?」
声が震える。嬉しさと興奮と、ほんの少しの涙が混ざって。
1244細くて、白くて、柔らかくて。幼い頃、童謡を歌いながら手を繋いだあのぬくもりのまま。けれど、今度は違う。繋ぐんじゃない。縛り、止めるんだ。
「……姉さん」
私は囁く。愛おしくて、どうしようもなく憎らしい名前を。
姉さんの瞳が私を見上げる。驚きと困惑、そして恐怖の入り交じった目で。私は、その表情に陶酔する。
「やめて、リチャード……」
かすれた声が耳に届く。今はもう拒絶の言葉すらも己を加速させていく。
両手でぐっと、強く、丁寧に、その白い首を掴む。細い骨が、僕の掌の中で軋む音がした。
「君は、私のものだ。私だけの、姉さんだろう?」
声が震える。嬉しさと興奮と、ほんの少しの涙が混ざって。
3kan_V
DONEモブメイド視点。なんやかんやあってリチャ姉が前提として結婚しています。
箱庭わたしがこの屋敷に雇われたのは、半年前。
高給だが、条件はひとつ。
「外との接触は絶つこと」だった。
屋敷は街の外れ、森の中。高い塀に囲まれ、鉄の門は常に鍵がかかっている。
最初に違和感を覚えたのは、あの方――ご婦人、いや、奥様の姿だった。
お綺麗で、穏やかで、常に微笑みを称えているお方。
けれども、その目の奥には、何かが沈んでいるように見えて仕方なかった。
**
ある日、朝の紅茶をお持ちした時のこと。
リチャード様がすでに彼女の傍にいらして、肩を抱くようにして言った。
「姉さんは、ずっと僕のそばにいてくれるよね?」
「ええ。もちろんよ、リチャード」
それは、答えではなく呪文のようだった。 そう唱えれば災いは訪れない。 そんな“祈り”のような声音。
727高給だが、条件はひとつ。
「外との接触は絶つこと」だった。
屋敷は街の外れ、森の中。高い塀に囲まれ、鉄の門は常に鍵がかかっている。
最初に違和感を覚えたのは、あの方――ご婦人、いや、奥様の姿だった。
お綺麗で、穏やかで、常に微笑みを称えているお方。
けれども、その目の奥には、何かが沈んでいるように見えて仕方なかった。
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ある日、朝の紅茶をお持ちした時のこと。
リチャード様がすでに彼女の傍にいらして、肩を抱くようにして言った。
「姉さんは、ずっと僕のそばにいてくれるよね?」
「ええ。もちろんよ、リチャード」
それは、答えではなく呪文のようだった。 そう唱えれば災いは訪れない。 そんな“祈り”のような声音。