きよせ
DONE唯玲 無配にし損ねた分です 誕生日を迎える前のキミ1225「玲司くん、誕生日になにか欲しいものはある?」
「いや、その気持ちだけで十分だ」
「そっか」
唯臣の問い掛けに玲司は迷う事なく即答した。
玲司の事は貪欲な人間だと思っていた。だがその対象は遥か先を見据えてのもので、目先のものにはまるで興味が無いと言わんばかりに。
きっと自らの事に対してはそうなのだ。
唯臣にはそれがとても不思議で、妙に好奇心を煽られるものだった。
どうしたら喜ばせる事が出来るだろうか。
どうしたら、この表情を、感情を揺さぶる事が出来るだろうか。
唯臣から見た玲司は、平静を装っている割には思いの外表情豊かであって、きっとそれに一番気付いていないのは本人だ。
現に、問いかけに答える玲司の表情は普段よりも柔らかく見えた。
1051「いや、その気持ちだけで十分だ」
「そっか」
唯臣の問い掛けに玲司は迷う事なく即答した。
玲司の事は貪欲な人間だと思っていた。だがその対象は遥か先を見据えてのもので、目先のものにはまるで興味が無いと言わんばかりに。
きっと自らの事に対してはそうなのだ。
唯臣にはそれがとても不思議で、妙に好奇心を煽られるものだった。
どうしたら喜ばせる事が出来るだろうか。
どうしたら、この表情を、感情を揺さぶる事が出来るだろうか。
唯臣から見た玲司は、平静を装っている割には思いの外表情豊かであって、きっとそれに一番気付いていないのは本人だ。
現に、問いかけに答える玲司の表情は普段よりも柔らかく見えた。
きよせ
MOURNING唯玲「どうして枯れた薔薇を飾るの?」
その瞳はどこまでも純粋で、穢れなく、真っ直ぐ俺に問いかけてくる。
薔薇は所謂ドライフラワーなので、枯れた薔薇、という表現も間違ってはいない。
小さな花瓶へ2本、ピンクの薔薇を挿した。
きっと生けている時は鮮やかであったであろうその色は、乾燥して淡く褪せており、既に息をしていないその色には優しさすら滲んで見える。
「頂き物だからな。既に枯れているから、水をやる手間もかからないだろう」
瞳の対象は俺から薔薇へと移り、不思議だと言わんばかりに首を傾げながら小さく唸っている。
好奇心の先である薔薇は、当然ながら視線にも動じることはない。
「そっか。もう死んでいるのだから、手間は確かにかからないね。なにもしなくても現状維持が出来るのなら、それはすごい事、なのかな。生き物は死んだら普通腐るのに、この薔薇は腐らないんだね。」
916その瞳はどこまでも純粋で、穢れなく、真っ直ぐ俺に問いかけてくる。
薔薇は所謂ドライフラワーなので、枯れた薔薇、という表現も間違ってはいない。
小さな花瓶へ2本、ピンクの薔薇を挿した。
きっと生けている時は鮮やかであったであろうその色は、乾燥して淡く褪せており、既に息をしていないその色には優しさすら滲んで見える。
「頂き物だからな。既に枯れているから、水をやる手間もかからないだろう」
瞳の対象は俺から薔薇へと移り、不思議だと言わんばかりに首を傾げながら小さく唸っている。
好奇心の先である薔薇は、当然ながら視線にも動じることはない。
「そっか。もう死んでいるのだから、手間は確かにかからないね。なにもしなくても現状維持が出来るのなら、それはすごい事、なのかな。生き物は死んだら普通腐るのに、この薔薇は腐らないんだね。」