harrr_v
DONEうちの子ルーツSS佐藤 綾人の話。何においても中の中、ちょっと出来ても中の上。
なんの取り柄もない俺だけど、ずっと願ってた。
些細なものでよかった、でもそれでも叶わなかった。
だから、全部諦めてしまった。
昔の俺は今からは想像できないくらい、活発な子供だった。ガキ大将なんて呼ばれることもあったっけ。弱いものいじめが許せなくて、そういう奴がいたら戦ったりもしていた。そんな俺にいつも付き添ってくれていたのが、幼なじみのルカとりっちゃんだった。
「あんな奴らほっとけばいいのに。」
ルカはよく面倒くさそうに言っていたが、何だかんだいつも俺に着いてきてくれていた。
「綾人といると飽きなくていーよな!」
りっちゃんは笑いながら率先していじめっ子を成敗していた。まああれは正義感というより、暴力的だったというだろう。
1948なんの取り柄もない俺だけど、ずっと願ってた。
些細なものでよかった、でもそれでも叶わなかった。
だから、全部諦めてしまった。
昔の俺は今からは想像できないくらい、活発な子供だった。ガキ大将なんて呼ばれることもあったっけ。弱いものいじめが許せなくて、そういう奴がいたら戦ったりもしていた。そんな俺にいつも付き添ってくれていたのが、幼なじみのルカとりっちゃんだった。
「あんな奴らほっとけばいいのに。」
ルカはよく面倒くさそうに言っていたが、何だかんだいつも俺に着いてきてくれていた。
「綾人といると飽きなくていーよな!」
りっちゃんは笑いながら率先していじめっ子を成敗していた。まああれは正義感というより、暴力的だったというだろう。
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DONEうちの子ルーツSS御木 陽の話。幼い頃のことはよく覚えてない。
はっきりとした記憶はばあちゃん家の裏山にボーッと立っていたあの時からだ。
ばあちゃんが泣きながら駆け寄ってきたのをよく覚えてる。
俺が6歳の時の事だ。
周りの大人達は皆『神隠し』だって言ってた。
「ばあちゃん、神隠しってなに?」
「神様に気に入られて、連れていかれちゃうんだよ。」
「俺、そんなにすごい人じゃないけど。」
そう首を傾げた俺を見て、ばあちゃんはそんな事ないと笑いながら、首にネックレスを掛けてくれた。なにこれと聞くと、陽ちゃんを守ってくれるお守りと言っていた。
「いい?絶対に危ないと感じたものに近寄っちゃだめ。陽ちゃんは好かれやすい体質だから。」
「分かった!」
ばあちゃんが言ってたことは難しくて分からなかったけど、大好きなばあちゃんが言うことだから、元気よく頷いたのだ。それを見て嬉しそうに笑ってたっけ。
612はっきりとした記憶はばあちゃん家の裏山にボーッと立っていたあの時からだ。
ばあちゃんが泣きながら駆け寄ってきたのをよく覚えてる。
俺が6歳の時の事だ。
周りの大人達は皆『神隠し』だって言ってた。
「ばあちゃん、神隠しってなに?」
「神様に気に入られて、連れていかれちゃうんだよ。」
「俺、そんなにすごい人じゃないけど。」
そう首を傾げた俺を見て、ばあちゃんはそんな事ないと笑いながら、首にネックレスを掛けてくれた。なにこれと聞くと、陽ちゃんを守ってくれるお守りと言っていた。
「いい?絶対に危ないと感じたものに近寄っちゃだめ。陽ちゃんは好かれやすい体質だから。」
「分かった!」
ばあちゃんが言ってたことは難しくて分からなかったけど、大好きなばあちゃんが言うことだから、元気よく頷いたのだ。それを見て嬉しそうに笑ってたっけ。
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DONEうちの子のルーツSS堰 朝陽の話。②俺達を救ってくれる神はいないのだと、あの日知った。
妹の代わりにいなくなってしまった弟。
それをただ見ているしかなかった自分。
毎日毎日、馬鹿みたいに祈りを捧げた結果がこれなんだとしたら、
どうしたら神とやらは俺達を助けてくれたんだろうか。
足場の悪い中を進んで行き重い扉を開けると、こもった埃っぽい空気が中から漂う。息をひとつついて、その中へと足を踏み入れた。
今日は卒業式で、この場所に来るのも最後になるだろうと、あの日以来初めて旧チャペルに足を踏み入れた。結局ここは取り壊しされることもなく、今も変わらずここにある。あの日と何も変わらずに。
祭壇の前まで歩いて行き目を閉じると、今でも鮮明に思い出される。俺を見下ろし見下す男の姿、そいつの元へと歩いていってしまう夕陽の姿。
1180妹の代わりにいなくなってしまった弟。
それをただ見ているしかなかった自分。
毎日毎日、馬鹿みたいに祈りを捧げた結果がこれなんだとしたら、
どうしたら神とやらは俺達を助けてくれたんだろうか。
足場の悪い中を進んで行き重い扉を開けると、こもった埃っぽい空気が中から漂う。息をひとつついて、その中へと足を踏み入れた。
今日は卒業式で、この場所に来るのも最後になるだろうと、あの日以来初めて旧チャペルに足を踏み入れた。結局ここは取り壊しされることもなく、今も変わらずここにある。あの日と何も変わらずに。
祭壇の前まで歩いて行き目を閉じると、今でも鮮明に思い出される。俺を見下ろし見下す男の姿、そいつの元へと歩いていってしまう夕陽の姿。