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DOODLE #月影ワンドロワンライ 第1回目 「ふたりきり」※三年生の時の話
部室棟二階。
全国に三年連続出場を決めたからといって、特に待遇が変ることのない夏は暑く、冬は寒い不便な部室。それでも他の部室よりは一回り大きく、全国経験を切っ掛けに増えた部員全員を難なく収めることができる部室。
普段は騒がしいほどに活気に満ち溢れているそこは、今日この時間だけは静かだった。
聞こえるのは参考書のページをめくる音と、爪を研ぐ音。干渉することもなく、混ざり合う事もなく聞こえる音。不意に片方の音が止まれば、つられるようにして無音になる。
「終わったの?」
「あぁ」
先に音を止めたのは、爪を整えていた影山の方だった。丁寧に切りそろえられた爪を形よく整えていく作業は、地味に見えてセッターというポジションを担っている影山にとっては重要な作業であった。
1508全国に三年連続出場を決めたからといって、特に待遇が変ることのない夏は暑く、冬は寒い不便な部室。それでも他の部室よりは一回り大きく、全国経験を切っ掛けに増えた部員全員を難なく収めることができる部室。
普段は騒がしいほどに活気に満ち溢れているそこは、今日この時間だけは静かだった。
聞こえるのは参考書のページをめくる音と、爪を研ぐ音。干渉することもなく、混ざり合う事もなく聞こえる音。不意に片方の音が止まれば、つられるようにして無音になる。
「終わったの?」
「あぁ」
先に音を止めたのは、爪を整えていた影山の方だった。丁寧に切りそろえられた爪を形よく整えていく作業は、地味に見えてセッターというポジションを担っている影山にとっては重要な作業であった。