dps94kakuriyo
TRAINING真ミナ出会い編。今回は捏造がすごいです。真祖は最後にしか出てきません。次回、やっと家出決行です。昼の娘と夜の王3「——お嬢様?」
「え? あ、ごめん! 聞いてなかった」
「お顔の色が良くありませんね。どこかお体の具合でも」
「ううん、昨日夜更かししてしまって、もう眠いんだ」
優しい子。僕のドレスを売りに行ってくれたのも、本を買ってきてくれたのも、男装の採寸や裁縫を手伝ってくれたのも彼女だった。……今日で、彼女ともお別れなんだ。
僕は今日、誰にも伝えずにこの家を出る。そう決めた。あれから、僕はこっそりと身支度を進めた。路銀と、動きやすい服と、数冊の本と、日用品。聖書は……持っていくことにした。お祖母様が僕にくれた形見だもの。
「私も、少女の頃は冒険を夢見ていたの」
僕とお祖母様だけの秘密の話。お祖母様は昔、王女の護衛を務めた姫騎士だった。でも、この家との婚姻で全ての運命は変わった。
1586「え? あ、ごめん! 聞いてなかった」
「お顔の色が良くありませんね。どこかお体の具合でも」
「ううん、昨日夜更かししてしまって、もう眠いんだ」
優しい子。僕のドレスを売りに行ってくれたのも、本を買ってきてくれたのも、男装の採寸や裁縫を手伝ってくれたのも彼女だった。……今日で、彼女ともお別れなんだ。
僕は今日、誰にも伝えずにこの家を出る。そう決めた。あれから、僕はこっそりと身支度を進めた。路銀と、動きやすい服と、数冊の本と、日用品。聖書は……持っていくことにした。お祖母様が僕にくれた形見だもの。
「私も、少女の頃は冒険を夢見ていたの」
僕とお祖母様だけの秘密の話。お祖母様は昔、王女の護衛を務めた姫騎士だった。でも、この家との婚姻で全ての運命は変わった。
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TRAINING御真祖とミナさんの馴れ初め2。捏造多しです。続きます。
昼の娘と夜の王2「うん。じゃあ手首出して」
「これでいい?」
「そう」
吸血鬼は頸を噛むと聞いたけれど、吸血する時はどこでもいいのか。またひとつ面白いことが学べて嬉しい。
彼——『D』の二つの牙が、僕の手首にプツリと突き刺さる様をじっと見ていた。ああ、立派な牙。痛みなんて、見惚れているうちに過ぎ去ってしまった。まるで肉食動物のようだけど血の匂いなんかしなくて、寧ろ芳しい。何の香りだろう? 後で聴いてみようか。
「美味しいかい?」
Dは小さく頷いた。まるで乳を吸う子供のようだ。手首にずっと湿った生温かさを感じて、僕は少し落ち着かなかった。そうして、Dの喉元が三回ほど上下した後、牙はゆっくりと手首から離れた。牙の先は、僕の血で少しだけ赤く染まっていた。
1034「これでいい?」
「そう」
吸血鬼は頸を噛むと聞いたけれど、吸血する時はどこでもいいのか。またひとつ面白いことが学べて嬉しい。
彼——『D』の二つの牙が、僕の手首にプツリと突き刺さる様をじっと見ていた。ああ、立派な牙。痛みなんて、見惚れているうちに過ぎ去ってしまった。まるで肉食動物のようだけど血の匂いなんかしなくて、寧ろ芳しい。何の香りだろう? 後で聴いてみようか。
「美味しいかい?」
Dは小さく頷いた。まるで乳を吸う子供のようだ。手首にずっと湿った生温かさを感じて、僕は少し落ち着かなかった。そうして、Dの喉元が三回ほど上下した後、牙はゆっくりと手首から離れた。牙の先は、僕の血で少しだけ赤く染まっていた。
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TRAINING御真祖とミナさんが初めて会った日を想像してみた。バンパイアキラーの辺とか妄想ですすみません。昼の娘と夜の王「君は誰だ? ここは塔の一番上だぞ。落ちたら死んでしまう」
「私は死なない。だって吸血鬼だから」
とても驚いた。目の前に吸血鬼がいる。闇夜を切り取った漆黒のマントに赤い宝石の瞳。家の男たちの誰よりも大きな体。何よりこんな高い塔の窓から中に入ろうとしている。
「何をしに来た。ここに居てはよくない。家の人間に見つかれば殺されてしまう」
僕は窓辺に駆け寄った。不思議と怖くはなかった。
僕の一族は、王家から聖剣『バンパイアキラー』を賜り、吸血鬼殲滅を家訓に掲げている。僕からすれば滑稽で酷く野蛮な、血生臭い生業だ。
「怪我をしているのか?」
吸血鬼は首を横に振った。
「違う。私を傷つけられるものはそんなに居ないよ。多分お腹が空いただけ」
764「私は死なない。だって吸血鬼だから」
とても驚いた。目の前に吸血鬼がいる。闇夜を切り取った漆黒のマントに赤い宝石の瞳。家の男たちの誰よりも大きな体。何よりこんな高い塔の窓から中に入ろうとしている。
「何をしに来た。ここに居てはよくない。家の人間に見つかれば殺されてしまう」
僕は窓辺に駆け寄った。不思議と怖くはなかった。
僕の一族は、王家から聖剣『バンパイアキラー』を賜り、吸血鬼殲滅を家訓に掲げている。僕からすれば滑稽で酷く野蛮な、血生臭い生業だ。
「怪我をしているのか?」
吸血鬼は首を横に振った。
「違う。私を傷つけられるものはそんなに居ないよ。多分お腹が空いただけ」