くろミミ
DONE人でなしのさくらちゃん3話目です田中のクラスの「顔の良い奴」の名前や性格を捏造しています。
人造少女それを見つけたのは祖父母の家でのことだ。
祖父母の家で見つけたということは夏休みか年末年始のことだろうが、今となっては定かではない。
入ることを禁じられた部屋にどうして忍び込もうと思ったのか、それも思い出せない。
おそらく俺は、その時から引き寄せられていたのだろう。
会ったこともない誰かに、あるいは何かによって。
その部屋は物が乱雑にしまわれた物置だった。
倒してしまわぬよう気をつけながら部屋の奥へと探検していき、机があるのを見つけた。
この雑然とした部屋の中で、その机だけがあるべきところに設えられているようだった。
おそらく元々は誰かの寝室だったのが、主の不在により物置として利用されるようになったのだろう。
引き出しを開けて調べたくなるのは男子小学生の当然の性といえる。
11115祖父母の家で見つけたということは夏休みか年末年始のことだろうが、今となっては定かではない。
入ることを禁じられた部屋にどうして忍び込もうと思ったのか、それも思い出せない。
おそらく俺は、その時から引き寄せられていたのだろう。
会ったこともない誰かに、あるいは何かによって。
その部屋は物が乱雑にしまわれた物置だった。
倒してしまわぬよう気をつけながら部屋の奥へと探検していき、机があるのを見つけた。
この雑然とした部屋の中で、その机だけがあるべきところに設えられているようだった。
おそらく元々は誰かの寝室だったのが、主の不在により物置として利用されるようになったのだろう。
引き出しを開けて調べたくなるのは男子小学生の当然の性といえる。
くろミミ
DONE人でなしのさくらシリーズその2。さくらが人魚です。
成分表示:少し指を欠損する描写があります。
人魚夜更けに台風の過ぎた朝、路上に落ちているソレが生き物でないことを田中一は願った。
確かめなければならない。
ソレが人の死体なんかではないことを。
以前轢かれた猫の死体かと思ったものも、よく見れば汚れた軍手だった。
今回もきっとそういうアレだ。
そうであってくれ。
近づいてみて、ソレが思っていたよりも遥かに尋常でないことに田中は気づいた。
横たわる裸の少女。
だが彼女の下半身は魚の尻尾のようなものに覆われていた。
「……人魚?」
思わず呟き、そうとしか思えなくなった。
到底作り物とは思えない質感。
人の肌と魚の鱗の境目も自然なもののように見える。
なにより、ぐったりとはしているが、生きている。
……人魚って地上で呼吸できるんだろうか。
5359確かめなければならない。
ソレが人の死体なんかではないことを。
以前轢かれた猫の死体かと思ったものも、よく見れば汚れた軍手だった。
今回もきっとそういうアレだ。
そうであってくれ。
近づいてみて、ソレが思っていたよりも遥かに尋常でないことに田中は気づいた。
横たわる裸の少女。
だが彼女の下半身は魚の尻尾のようなものに覆われていた。
「……人魚?」
思わず呟き、そうとしか思えなくなった。
到底作り物とは思えない質感。
人の肌と魚の鱗の境目も自然なもののように見える。
なにより、ぐったりとはしているが、生きている。
……人魚って地上で呼吸できるんだろうか。
くろミミ
DONEオッタクの田中とさくらをイメージして書きましたが、本編とはあまり関係ありません。さくらが人ではない何かです。
人は死にます。
はじめの怪異田中一は孤独だった。
人に心を開きづらく、どこまで踏み込んでいいのか分からない。
日々をやり過ごすのに苦労はしないが、深い仲を築くことはできない。
友達と呼べる相手がいるかと問われても名を挙げられない。
たまたま縁ができてもその内うやむやとなり消え去ってしまう。
田中一は孤独だった。
しかしそれはとてもありふれた孤独だった。
そんな孤独を打ち明けたところで誰も顧みる者はいない。
いっそう寂しさが募るだけだ。
ところが、最近風向きが変わった。
「おにーさん」
振り返ると予想したとおり、ツインテールの少女がいた。
「今帰るところですか?」
「……ああ」
「じゃあ一緒に帰りましょ!」
そう言って田中の腕に抱きつく少女。
「一緒に帰るって、おまえの家じゃないだろ」
2418人に心を開きづらく、どこまで踏み込んでいいのか分からない。
日々をやり過ごすのに苦労はしないが、深い仲を築くことはできない。
友達と呼べる相手がいるかと問われても名を挙げられない。
たまたま縁ができてもその内うやむやとなり消え去ってしまう。
田中一は孤独だった。
しかしそれはとてもありふれた孤独だった。
そんな孤独を打ち明けたところで誰も顧みる者はいない。
いっそう寂しさが募るだけだ。
ところが、最近風向きが変わった。
「おにーさん」
振り返ると予想したとおり、ツインテールの少女がいた。
「今帰るところですか?」
「……ああ」
「じゃあ一緒に帰りましょ!」
そう言って田中の腕に抱きつく少女。
「一緒に帰るって、おまえの家じゃないだろ」