あやめ
DONEjcサマコレ展示作品です。※薫女体化です。
薫視点のお話。一人称は私。
虎次郎→薫→愛抱夢 前提の内容です。
愛抱夢とのビーフの後、薫が自分の想いに気付くお話。
虎次郎視点も今後執筆予定です。
変わる世界「退屈だ」
無機質な天井をぼんやり見つめながら、薫は思わず独り言を漏らした。
愛抱夢との念願のビーフは呆気なく、思いもよらない形で幕を閉じ、鈍い痛みだけが身体に残っていた。
視界に入るのはギプスで固められた腕と脚。
退屈だ、と再度口にしかけた最中、聞き慣れた声と共に、勢いよく戸が開いた。
「ノックくらいしたらどうだ」
「声かけたじゃねえか」
「入室許可は出してないぞ。もし着替え中だったらどうしてくれるんだ?」
「…今日はツイてるぜと思うだろうな」
「怪我さえなければ蹴り飛ばしてるんだがな。いや、このギプスも武器になるか」
「待て待て、冗談だっ。お前の着替えなんて興味ねぇよ!」
お前の着替えなんて、だと?いちいち癪に触ることしか言わないゴリラだ。
5498無機質な天井をぼんやり見つめながら、薫は思わず独り言を漏らした。
愛抱夢との念願のビーフは呆気なく、思いもよらない形で幕を閉じ、鈍い痛みだけが身体に残っていた。
視界に入るのはギプスで固められた腕と脚。
退屈だ、と再度口にしかけた最中、聞き慣れた声と共に、勢いよく戸が開いた。
「ノックくらいしたらどうだ」
「声かけたじゃねえか」
「入室許可は出してないぞ。もし着替え中だったらどうしてくれるんだ?」
「…今日はツイてるぜと思うだろうな」
「怪我さえなければ蹴り飛ばしてるんだがな。いや、このギプスも武器になるか」
「待て待て、冗談だっ。お前の着替えなんて興味ねぇよ!」
お前の着替えなんて、だと?いちいち癪に触ることしか言わないゴリラだ。
mkm_ao
MENU🍳「おまえとふたりで朝食を」A5/30ページ 2022/3/27発行掌編連作ごはん本。
9話後、南城が桜屋敷邸に泊まり込みで薫の日常生活を手伝っている設定。
両片想い→告白&両想いに至るまで。
自家通販 https://mkmatome.booth.pm/items/3705681
おまえとふたりで朝食を憂愁のカルボナーラ「来週には脚のギプスが外れることになった」
「おお、よかったじゃねぇか」
ランチ営業が終わるタイミングでシア・ラ・ルーチェに立ち寄った薫が診察の結果を告げると、虎次郎は破顔した。
「リハビリは必要だがな」
もう、おまえの手を借りずとも生活に支障はない——そう伝えれば、今度は眉間にシワを刻む。
「うれしくないのか?」
薫の指摘に虎次郎は「あ〜……」と相槌ともつかない声を漏らして厨房へと入り、「パスタでいいかぁ?」と間延びした口調で訊いてきた。
「任せる」
愛抱夢にボードで殴打されて負傷したあと、薫は一時的に実家に戻るか、手伝いを雇って自宅での生活を続けるかの選択を迫られた。そこへ「俺が手伝うよ」と虎次郎が名乗りを上げたのだ。確かに虎次郎ならば、薫を抱き上げて介助できる腕力があるし、気心も知れている。何より、美味い飯にありつけることが約束されているではないか。薫に否やはなかった。
3246「おお、よかったじゃねぇか」
ランチ営業が終わるタイミングでシア・ラ・ルーチェに立ち寄った薫が診察の結果を告げると、虎次郎は破顔した。
「リハビリは必要だがな」
もう、おまえの手を借りずとも生活に支障はない——そう伝えれば、今度は眉間にシワを刻む。
「うれしくないのか?」
薫の指摘に虎次郎は「あ〜……」と相槌ともつかない声を漏らして厨房へと入り、「パスタでいいかぁ?」と間延びした口調で訊いてきた。
「任せる」
愛抱夢にボードで殴打されて負傷したあと、薫は一時的に実家に戻るか、手伝いを雇って自宅での生活を続けるかの選択を迫られた。そこへ「俺が手伝うよ」と虎次郎が名乗りを上げたのだ。確かに虎次郎ならば、薫を抱き上げて介助できる腕力があるし、気心も知れている。何より、美味い飯にありつけることが約束されているではないか。薫に否やはなかった。
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MENU💫「Intergalactic」B7/36ページ 2021/7/7発行まだ付き合っていないジョーチェリ。幼少期捏造あり。
日常系小ネタ、誕生日小話など。てのひらサイズの小さな本。
付録:SS付ポスカ
自家通販 https://mkmatome.booth.pm/items/3243993
Intergalactic■おさななじみ
宗教画の天使みたいな巻き毛に大きな瞳、愛くるしい笑顔——実家から持ち帰ったアルバムに挟まっていた古い写真に、薫は顔をしかめた。
天使と見紛う幼い虎次郎の隣に立っている仏頂面の幼児は薫自身だ。背景から察するに幼稚園の園庭で撮られた写真に違いない。
「こんなものが、まだ残っていたとはな」
思案のすえ、そのまま挟んでおくことにしてアルバムを閉じる。先日オンラインで受けた取材の際に求められた「子ども時代の写真」には、単独で小学校の門の前に立っている一葉を使うことにした。出身校の紹介も兼ねられて一石二鳥だろう。
「カーラ。このデータをメールに添付して○○誌に送る準備を」
スキャナアプリで撮影した写真データをパソコンに転送しつつ、に声をかける。
5633宗教画の天使みたいな巻き毛に大きな瞳、愛くるしい笑顔——実家から持ち帰ったアルバムに挟まっていた古い写真に、薫は顔をしかめた。
天使と見紛う幼い虎次郎の隣に立っている仏頂面の幼児は薫自身だ。背景から察するに幼稚園の園庭で撮られた写真に違いない。
「こんなものが、まだ残っていたとはな」
思案のすえ、そのまま挟んでおくことにしてアルバムを閉じる。先日オンラインで受けた取材の際に求められた「子ども時代の写真」には、単独で小学校の門の前に立っている一葉を使うことにした。出身校の紹介も兼ねられて一石二鳥だろう。
「カーラ。このデータをメールに添付して○○誌に送る準備を」
スキャナアプリで撮影した写真データをパソコンに転送しつつ、に声をかける。