Intergalactic■おさななじみ
宗教画の天使みたいな巻き毛に大きな瞳、愛くるしい笑顔——実家から持ち帰ったアルバムに挟まっていた古い写真に、薫は顔をしかめた。
天使と見紛う幼い虎次郎の隣に立っている仏頂面の幼児は薫自身だ。背景から察するに幼稚園の園庭で撮られた写真に違いない。
「こんなものが、まだ残っていたとはな」
思案のすえ、そのまま挟んでおくことにしてアルバムを閉じる。先日オンラインで受けた取材の際に求められた「子ども時代の写真」には、単独で小学校の門の前に立っている一葉を使うことにした。出身校の紹介も兼ねられて一石二鳥だろう。
「カーラ。このデータをメールに添付して○○誌に送る準備を」
スキャナアプリで撮影した写真データをパソコンに転送しつつ、に声をかける。
5633