重ーかさねー
PASTワンライの再録です。ほんのり大正パロ。
ちょっとしたお話 よいしょっと、小さく気合を入れ洗濯籠を抱える。縁側から庭に降りて、籠の中の洗濯物を一枚ずつ干していく。よく乾きそうな高く澄んだ空に目を細め、空になった籠を手に家に戻る。
籠をおいて家主の部屋に向かうと、案の定というか未だに布団の住人な姿に小さく息をつくと枕元に膝をつく。
「先生、朝ですよ」
ゆさゆさと肩を揺するが微動だにしない。予想の範囲内である。少しだけ膝を後ろにさげて耳元に口を近づける。
「おはようございます、先生。今日は鮭ですよ、一緒に朝ごはん食べましょう」
そう言いながら、枕元から体を逃がす様に離す……がそれよりも早い動きで手首を捕まれ、布団の世界へと連れ込まれる。なんとか抜けようと手を動かすが、後ろから抱き込まれる形で絡められる。
1973籠をおいて家主の部屋に向かうと、案の定というか未だに布団の住人な姿に小さく息をつくと枕元に膝をつく。
「先生、朝ですよ」
ゆさゆさと肩を揺するが微動だにしない。予想の範囲内である。少しだけ膝を後ろにさげて耳元に口を近づける。
「おはようございます、先生。今日は鮭ですよ、一緒に朝ごはん食べましょう」
そう言いながら、枕元から体を逃がす様に離す……がそれよりも早い動きで手首を捕まれ、布団の世界へと連れ込まれる。なんとか抜けようと手を動かすが、後ろから抱き込まれる形で絡められる。
重ーかさねー
PASTワンライの再録です。未来軸の謎時空。同棲してます。
その先の話 映画鑑賞は普通に好きだ。面白そうなものたら邦画でも洋画でもみるし、アニメだってみる。動画配信サービスもあるから好きな時にみれるのもいい。
今日はなんとなく泣ける映画をみたくて、とあるレビューサイトを参照に候補を絞る。別に理由があって泣きたい訳では無い。断じて、凪が仕事で地方に泊まりで寂しいとかではない。いつも隣ある体温を感じられなくて寂しくて泣きそうとかそういうのではないったらない。……ウソ、すごく寂しい。
ここ最近二人そろって仕事が忙しくて、せっかくのオフシーズンなのに二人でのんびり過ごすことすら出来てない。俺のマネジメント能力が優秀なばかりに、と過去の自分を恨んでも仕事はなくならない。
凪と同棲し始めてからずっと一緒のベッドで寝ていたから、大きいベッドに一人は虚しさをどことなく感じて、でも伸ばした手にはいつもの温かさを感じる事ができなくて。昔は一人が当たり前だったのに。
1343今日はなんとなく泣ける映画をみたくて、とあるレビューサイトを参照に候補を絞る。別に理由があって泣きたい訳では無い。断じて、凪が仕事で地方に泊まりで寂しいとかではない。いつも隣ある体温を感じられなくて寂しくて泣きそうとかそういうのではないったらない。……ウソ、すごく寂しい。
ここ最近二人そろって仕事が忙しくて、せっかくのオフシーズンなのに二人でのんびり過ごすことすら出来てない。俺のマネジメント能力が優秀なばかりに、と過去の自分を恨んでも仕事はなくならない。
凪と同棲し始めてからずっと一緒のベッドで寝ていたから、大きいベッドに一人は虚しさをどことなく感じて、でも伸ばした手にはいつもの温かさを感じる事ができなくて。昔は一人が当たり前だったのに。
重ーかさねー
PASTワンライの再録です。謎時空のhkh時代。
文化祭を侮るなかれ 文化祭といえば、学生生活の中でもそれなりに盛り上がる行事の一つであると思う。
白宝でも例外ではなく、毎年この時期は準備期間を含め皆楽しそうにしている。勿論俺も雰囲気にあてられてるのか少し浮足立っているのは否めない。
俺のクラスは池ヶ谷くんの全力プレゼンによりリンゴ飴屋さんとなった。意外と本格的で、数種類のリンゴでリンゴ飴をつくる予定だ。縁日でよくあるまるのままのとカットしたものの二つのタイプとドリンク数種類を用意し、室内でも飲食できるように教室の半分はイートインスペースとして扱うため、現在飾り付け中だ。
ちなみに、凪のクラスは喫茶店らしい。何故か、凪にどんな喫茶店か聞いても首傾げるだけだし、凪のクラスメイトに聞いても内緒と言われて教えてもらえないので詳細は知らない。
3646白宝でも例外ではなく、毎年この時期は準備期間を含め皆楽しそうにしている。勿論俺も雰囲気にあてられてるのか少し浮足立っているのは否めない。
俺のクラスは池ヶ谷くんの全力プレゼンによりリンゴ飴屋さんとなった。意外と本格的で、数種類のリンゴでリンゴ飴をつくる予定だ。縁日でよくあるまるのままのとカットしたものの二つのタイプとドリンク数種類を用意し、室内でも飲食できるように教室の半分はイートインスペースとして扱うため、現在飾り付け中だ。
ちなみに、凪のクラスは喫茶店らしい。何故か、凪にどんな喫茶店か聞いても首傾げるだけだし、凪のクラスメイトに聞いても内緒と言われて教えてもらえないので詳細は知らない。
重ーかさねー
PASTワンライの再録になります。SF(少し不思議な話)
秋の夕暮れの冒険譚 なんてことのないとある日。秋風が心地良かったから、本当になんとなく帽子だけ被って何も持たずに家を出る。夜の帳が徐々におりはじめ、眼前には見事なグラデーションが空を染めあげる。
目的などなく、ただただ風の向くまま気の向くまま。
明かりを灯しはじめる街頭、魚の焼けるにおい、のびてきえる影、走り去る楽しげな声。
そこそこ広めの公園の入り口にある鳥居をくぐり、まだ色づいていない木々の間を進み、東屋を通り過ぎてまだ細い道を進み公園内をのんびりと散策する。
しばらく道なりに進んでいくと、肘掛けの部分が青白く光るベンチに白い毛玉がいるのに気づき、なんとなくその毛玉の横に腰掛ける。
気配を感じたのか、緩慢な動きで毛玉がこちらに視線を向ける。肘掛けの灯りに照らされた瞳は黒黒としていて、こちらに何かを訴えかけているような気になってくる。
2293目的などなく、ただただ風の向くまま気の向くまま。
明かりを灯しはじめる街頭、魚の焼けるにおい、のびてきえる影、走り去る楽しげな声。
そこそこ広めの公園の入り口にある鳥居をくぐり、まだ色づいていない木々の間を進み、東屋を通り過ぎてまだ細い道を進み公園内をのんびりと散策する。
しばらく道なりに進んでいくと、肘掛けの部分が青白く光るベンチに白い毛玉がいるのに気づき、なんとなくその毛玉の横に腰掛ける。
気配を感じたのか、緩慢な動きで毛玉がこちらに視線を向ける。肘掛けの灯りに照らされた瞳は黒黒としていて、こちらに何かを訴えかけているような気になってくる。