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    重ーかさねー

    🟦⛓のngroの小説をちみちみと書いてます。

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    ワンライの再録です。

    謎時空のhkh時代。

    #ngroワンライ再録

    文化祭を侮るなかれ 文化祭といえば、学生生活の中でもそれなりに盛り上がる行事の一つであると思う。
     白宝でも例外ではなく、毎年この時期は準備期間を含め皆楽しそうにしている。勿論俺も雰囲気にあてられてるのか少し浮足立っているのは否めない。
     俺のクラスは池ヶ谷くんの全力プレゼンによりリンゴ飴屋さんとなった。意外と本格的で、数種類のリンゴでリンゴ飴をつくる予定だ。縁日でよくあるまるのままのとカットしたものの二つのタイプとドリンク数種類を用意し、室内でも飲食できるように教室の半分はイートインスペースとして扱うため、現在飾り付け中だ。
     ちなみに、凪のクラスは喫茶店らしい。何故か、凪にどんな喫茶店か聞いても首傾げるだけだし、凪のクラスメイトに聞いても内緒と言われて教えてもらえないので詳細は知らない。
     当日の凪のシフトは既に入手済なので、どんなコンセプトかはその日までの楽しみとしておこう。


     白宝の文化祭は金、土、日曜日の三日間行われる。金曜日が白宝生だけのためのプレで、土、日曜日が父母や外部の人たちもくることになっている。
     俺のところは親父は仕事で来れないらしいが、母さんとばぁやは来るつもりらしい。一昨日、本人的にはこっそりと服選びしているのをうっかりみてしまった息子の気持ちたるや…。
     軽く頭をふり、雑念をはらうと軽く息をはく。黒地に胸元にリンゴのマークと店名が入ったエプロンを素早く身につけ髪を結ぶ。
     プレの今日は俺は最初の二時間と三時から最後までが店番となっている。対する凪は午後から店の方にいるらしいので時間を見計らって突撃する所存である。
     開始五分前のアナウンスを聞きながら、材料等、最終確認を行い、皆で気合をいれると文化祭開始の音楽が学校中に鳴り響く。
     さて、まずは二時間頑張りますか。


     リンゴ飴屋さんはまずまずの滑り出しといったところで、一口サイズにカットされたリンゴ飴が特に食べやすいと好評で、想定していたよりも材料の在庫の減りが早い。この調子なら、もう少し多めに用意してもいいかもしれない。
     入れ替わりのクラスメイトに声をかけつつ、凪のシフトが始まるまで一通り巡る。一年生のお化け屋敷が意外に怖くて、後で凪と一緒に来ようと心に決めつつ、凪のクラスへと足を進める。
     凪のクラスは列ができるくらい人気らしく、並ぶときにチラッとみえた看板には『喫茶マスカレイド』と少しレトロな字体でかかれていた。
     なるほどと、先頭にいる生徒たちをみると、入口にいるスタッフに仮面みたいなものを渡され楽しげに店内に入っていくのがみえた。これはまた面白いコンセプトだなと関心しつつ、順番がくるのを待つ。
     俺の番になり、スタッフから軽い説明とメニュー表、仮面を渡されそれを装着する。案内された席につくと軽食とコーヒーを頼み、そっと凪を探す。
     いくら仮面で顔を隠そうともあの巨体が縮むわけでもない。すすすっと視線を動かした先にだるそうに背中を丸めた姿を見つけた瞬間、ドッと心臓に衝撃を受けた。
     フリルのついた七分袖のブラウスに黒のスラックス、ショートエプロンを身につけており、その姿だけでもかなりの衝撃なのに、ゆるく前髪を後ろに流していて色気が溢れている。
     正直、やる気なさ気な姿さえアンニュイな感じで色気が増している。スマホを取り出しそうになる腕を抑え、深呼吸。落ち着け俺、写真撮影は禁止だとスタッフに言われただろう。
     落ち着くために軽く深呼吸をし、凪から視線を外し店内の内装を見る。看板と同じく少しレトロな感じで飾り付けられた店内は落ち着いていて、普通にお店としてもレベルが高い。
     これは人気出るのも納得だなと感心していると、眼の前に玉子たっぷりのサンドイッチとコーヒーがおかれ、お礼を言うために顔を上げて固まる。
    「レオ、来てくれたんだ」
     甘い声、優しい眼差し、そして口元に笑みを浮かべて少し首を傾げる凪の姿によく気絶しなかったと自分を褒めたい。そして、ブルーロックの企画で色んな凪をみてきたから免疫ができていると思い込んでた自分を殴りたい。
    「持ってきてくれてありがとうな、凪」
     なんとか精神を保ちつつお礼をいい、似合ってる旨を伝えると凪は俺の横にしゃがみ込みそっとこちらに頭を差し出す。上目遣いで撫でて、と視線で訴える姿に周りが騒つく。
     いつも通りを意識して、えらいぞーと髪型を崩さない程度に撫でると、少し不満気に頬を膨らます。そんな凪の可愛さを奥歯を噛み締めて耐え、あとでいっぱい褒めるを約束する。
     名残惜しそうに仕事に戻る凪の背中を見送ると、もそもそとサンドイッチを食べ、コーヒーをすする。味も申し分なく、これは明日も大盛況だろう。
     会計を済まし、着替えのため控室に向かう途中ハッと気がつく。明日、明後日の凪のシフトは一番混雑が予想される時間帯で、それ即ち色んな人があの凪を見るということで…。
     嗚呼、これ以上凪がモテたらどうしよう…。


     俺の予感は色んな意味で的中し、翌日の土曜日は大盛況過ぎて、急きょ入場制限が設けられたぐらいだ。生徒家族はその対象ではないが、ブルーロックで凪を知った人たちが結構来ていたらしく、撮影禁止なのにもかかわらずネットにあげられた凪の写真でさらに客足は増した。ちなみに、当該写真は大人の力で消させてもらった。
     あまりにも隠し撮りチャレンジするマナー違反者がいたらしく、こちらも急きょ凪を含めた数人の男子生徒のチェキを何枚かとり、販売することでなんとか事をおさめた。なお、おさまったかは定かではないが。
     ちなみに、チェキの撮影に何故か俺も呼ばれた。カメラの後ろで手をふるだけの簡単なお手伝いだったが、あれで良かったのだろうか。
     俺のクラスもそれなりに大盛況だったが、凪のクラスには及ばず。ちょっと悔しかったので、シフト終わりの凪を撫でるときちょっと激しめだったのは許してほしい。
     日曜日は朝から入場制限を設けたため、混乱は少なかったが、こっそり入ろうとした輩が何人か警察のお世話になったらしい。ウチの学校のセキュリティは優秀だ。
     流石に騒がれ疲れたのか、朝からご機嫌ななめな凪を甘やかしつつ、頑張ったら何でもしてあげると約束し控室前で別れる。今日さえ乗り越えれば二日間の代休があり、この二日間は補習等もないのでいっぱい甘やかす所存である。

     
     三日間の日程を終え、やはりというか凪のクラスが一番の売上をだし、人気投票でも一位に輝いていた。なんでも、美人マダムが相当売上に貢献したらしい。俺のクラスは残念ながら四位だった。
     後片付けを終え、学校を出る頃には既に十九時を過ぎていた。玄関で半分眠りかけてる凪を回収して、ばぁやの運転する車に乗り込む。
     肩に寄りかかってくる凪の頭を撫でつつ、途中で何か夕飯を食べるか尋ねると、凪はゆるく頭を振った。疲れた声で「レオー…」と鳴く凪にきゅんきゅんしつつ、ばぁやにそのまま凪の部屋に向かうように伝えると車は静かに走り出した。
     走り出して数分、目的地である凪のアパートに到着すると、前もって用意していた荷物を持ち、後ろに凪をくっつけた状態で凪の部屋までむかう。
     中に入ると後ろからの拘束が強くなったため、拘束する腕を軽く叩き、先に着替えようぜと声をかける。凪はのろのろと拘束を解くと、今度はこちらに両腕を伸ばしてくる。
     思わず飛び込みそうになるのを気合で押し留めて、凪を着替えさせると、自分も持ってきた荷物から着替えをだすと手早く身支度等を終え、凪を連れてテーブルの前に座る。そして、荷物から売り切れる前に確保しておいた一口サイズのリンゴ飴をとりだすと、一つ取り出して凪の口もとにくっつける。
     もそもそと動き、ゆっくり咀嚼する姿を横目に自分の口にもほおりこむ。味見は何回かしていたが、酸味と程よい甘みが疲れた体に染み渡る。あーんと口を開けた凪にもう一ついれ、俺ももう一口。
     本当はもっとしっかりご飯を食べたほうがいいが、流石に俺も疲れ切っていたので軽くシャワーを浴び、寝支度を整えると早々に2人で布団に潜り込む。
     すり寄る凪の背中を軽く叩きながら、凪が眠るまで「頑張ったな」「偉かったな」「格好良かったぞ」と褒め続ける。最初は小さく「俺めっちゃがんばったー」「うん、俺えらかったー」「レオもにあってたー」と相槌をうっていたが、次第に反応が遅くなり、最後には寝息のみとなった。

    「おやすみ、凪。いい夢みろよ」

     そっと凪の額に唇を寄せると俺も夢の世界に旅立つ。

     凪の気が済むまで甘やかしたらいつの間にか二日間経っており、翌日の準備のため火曜日の夜帰宅すると、俺の机の上に凪のチェキがアルバムとして置いてあるのをみて、脳裏に浮かんだ母さんに感謝すべきか怒るべきか悩みつつそっと枕の下に入れたのは俺だけの秘密だ。

                    完
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