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    #さねひめ

    goddessOfSpring

    sumitikan

    DONEさねひめ、全年齢。モブあり、手も握りません。軽く戦って鬼の首が飛びます。
    吉原実弥は鬼殺後の夜明けの田舎道を歩いて、街中の乗合馬車の停留所に着いたのが何時になるのか分からない。朝っぱらから立ちん坊だった。明け方からやたらと風が強い日で、停留所に娘を連れた男が来て、三人で立っていた。

    正面の通りを吹き渡ってきた空っ風の土埃に当てられて娘が咳き込みはじめた。悪い所に入ったのだろう、咳は長々と続いて、ついに娘を連れに来た男がくどくどと叱り始めた。

    「おい、いい加減にその辛気臭い咳をやめねえか。折角いい妓楼を紹介してやろうってのに、お前がそんなじゃ務まらねえぞ。田舎の旦那の使いでのいい後家にしようってんじゃねえ。いいか、吉原ってところは気立てが大事だ、咳なんかしてねえで、どこでも何でも愛想よく笑って見せなきゃならねえところだ。妓楼の遣手や楼主に愛想の一つもよくしなきゃならねぇって時に、なんだお前は、咳なんかこさえてる場合か。こら。親も肋膜でなくしたんなら猶更、意気地ってものを覚えてやってかなきゃならねえのによ。なんだてめえは、ええ?こんこん咳して病人でございだあ?そんな病みついた餓鬼を引き取る妓楼がどこにある。病気もちは俺だって勘弁だ。その咳を今すぐやめろ。やめねえか……」
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    sumitikan

    DONEさねひめ、全年齢、手も握りません。モブあり、軽く戦って鬼の首が飛びます。耀哉の指示で実弥が偽の写真屋になり、悲鳴嶼さんが霊能者の似非坊主をやります。雰囲気です。ピクブラにも同じものを投稿しています。
    蟷螂館上座の耀哉が静かに湯呑で唇を湿し、じっとこちらを見つめてくる視線が優しい。あれからというもの、耀哉と会うとなぜか母親に会ったような気になってしまう実弥が、我ながら従順で大人しかった。

    残暑の季節に鴉が軒先に飛び込むようにして呼び出され、大急ぎで産屋敷家に来た。控室で一緒になったのは悲鳴嶼で、彼がいるなら確かに鬼の話になる。隣り合わせに耀哉の前に、出された茶は一口も飲めなかった。当主はじっと悲鳴嶼と実弥を見て、ようよう口を開いた。

    「二人とも、急な呼び出しなのによく来てくれたね」

    笑みが深くなる。悲鳴嶼は見えない目でじっと耀夜を見つめているようだった。何でもないことのように耀哉が話しはじめた。

    「今回は少し珍しい頼み事だったのと、他の隊士の手に余ってしまったから、行冥と実弥に行って見て来て欲しいんだ。頼み事と言うのは、鬼殺隊が色々と面倒を見て貰っている、さる男爵のお宅に病弱な御令息がいてね。普段は東京の外の別邸に静養していて、家庭教師をつけて引き籠っている。世間を知るために教養のある文化人を世代問わずに集めていて、絵画や彫刻を何点も見たり、洋物のレコードの感想を言い合ったりするらしい。文化人たちの集まりだという話だね。
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