Haruto9000
DONE「ランサーのクー・フーリンが女性だったら」妄想、第6話。※FGO第1部のみの情報で書いていたので、設定ズレなどはご容赦ください。
【あらすじ】
雪崩に巻き込まれ、マスターたちとはぐれたランサーとオルタ。
洞窟で嵐をしのごうとするが、ランサーの様子がおかしいことにオルタが気づく。
彼女が本当に「クー・フーリン」なのか疑いを持っていたオルタは、ランサーを問い詰めるが…。
ミラーリング #6(カルデア編) 死にたくない、と彼女は言った。
腹を裂かれ、血に沈み、全身から命を流しながらも、彼女は言った。死にたくない。
その身を疎まれ、弄ばれ、それでも必死に生きた末にこのざまとは、なんて、なんて、あわれな女!
今際の際にみじめたらしく泣く姿が許せず、私は言った。
体が朽ちても、その名が語り継がれるように。
その身が伝説に昇華され、永遠に生き続けるように。
──おまえを、英雄にしてあげる。
✳︎✳︎✳︎
ランサーは目を覚ました。
真っ先に目に入ったのは、オレンジ色に明滅する濡れた岩の天井だった。
吐いた息が白く立ち昇っては消える。
寒い。
ぼんやりする頭で自分の白い息を見つめていると、唐突に記憶が蘇った。
7393腹を裂かれ、血に沈み、全身から命を流しながらも、彼女は言った。死にたくない。
その身を疎まれ、弄ばれ、それでも必死に生きた末にこのざまとは、なんて、なんて、あわれな女!
今際の際にみじめたらしく泣く姿が許せず、私は言った。
体が朽ちても、その名が語り継がれるように。
その身が伝説に昇華され、永遠に生き続けるように。
──おまえを、英雄にしてあげる。
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ランサーは目を覚ました。
真っ先に目に入ったのは、オレンジ色に明滅する濡れた岩の天井だった。
吐いた息が白く立ち昇っては消える。
寒い。
ぼんやりする頭で自分の白い息を見つめていると、唐突に記憶が蘇った。
Haruto9000
DONE「ランサーのクー・フーリンが女性だったら」妄想、第5話。※FGO第1部のみの情報で書いていたので、設定ズレなどはご容赦ください。
【あらすじ】
オルタの自分と決定的に仲が悪くなったランサー。ギスギスした2人に、マスターやキャスターは頭を痛めていた。
ある日、ランサーたちは素材集めのレイシフトに出ることになる。
雪山で順調にエネミーを倒していくが、突如、巨大なスプリガンが襲ってきた!
ミラーリング #5(カルデア編) 初めて会ったときのおまえは、小さな小さな子犬だった。
だが、子犬はあっという間に俺が望んだ全てを手に入れた。
そんな子犬が、俺は憎くて憎くて仕方なかった。
だが、嗚呼、そんな俺の心の内も知らず、おまえはなんと無邪気に笑いかけてきたことだろう。
その小さな体が抱えるものの大きさを知り、どれほど心傷んだことだろう。
二人で競い、技を磨き合う一瞬が、どれほど楽しかったことだろう。
あんなに懐かしく輝く日々が、今はなんと遠いことだろう!
空はこんなにも晴れているのに、俺の顔には雨が止まない。
さあ、そんなに泣かないでくれ。
愛しい愛しい、俺の妹。
✳︎✳︎✳︎
種火を与えられて強くなったランサーは、髪の毛をバッサリと切ってしまった。
9563だが、子犬はあっという間に俺が望んだ全てを手に入れた。
そんな子犬が、俺は憎くて憎くて仕方なかった。
だが、嗚呼、そんな俺の心の内も知らず、おまえはなんと無邪気に笑いかけてきたことだろう。
その小さな体が抱えるものの大きさを知り、どれほど心傷んだことだろう。
二人で競い、技を磨き合う一瞬が、どれほど楽しかったことだろう。
あんなに懐かしく輝く日々が、今はなんと遠いことだろう!
空はこんなにも晴れているのに、俺の顔には雨が止まない。
さあ、そんなに泣かないでくれ。
愛しい愛しい、俺の妹。
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種火を与えられて強くなったランサーは、髪の毛をバッサリと切ってしまった。
Haruto9000
DONE「ランサーのクー・フーリンが女性だったら」妄想、第4話。※FGO第1部のみの情報で書いていたので、設定ズレなどはご容赦ください。
【あらすじ】
徐々にカルデアに溶け込み始めた、女性のクー・フーリン。
プロトタイプやキャスターの自分とはなじんだが、オルタナティブの自分とは、いまいち馬が合わない。
ある日、女王メイヴが彼女をお茶会に誘う。
ミラーリング #4(カルデア編) 初めて会ったときは無邪気な娘。
頰を林檎のように赤くして、仲間と競い、目をきらきらと輝かせる姿は人生の喜びに満ちていた。
次に会ったときは目に憂いを浮かべた戦士。
無礼に私の手を振り払い、私の野心を薙ぎ倒していく狗が憎くて憎くてたまらなかった。
けれど、その獰猛な瞳の奥にどうしようもない孤独を見つけたとき、私は生まれて初めてこんなにも──一人の人間が、彼女が欲しいと思ったの。
✳︎✳︎✳︎
「性別の違う自分?」
アーサーはぱちりと瞬きをした。隣に座るアルトリアの顔を見、またマスターの顔を見る。
「そう。君は色んな世界を渡り歩いてるんだろう? そういう事象に詳しくないかなと思って」
ダ・ヴィンチの言葉に、アーサーは困ったように首をかしげた。
9734頰を林檎のように赤くして、仲間と競い、目をきらきらと輝かせる姿は人生の喜びに満ちていた。
次に会ったときは目に憂いを浮かべた戦士。
無礼に私の手を振り払い、私の野心を薙ぎ倒していく狗が憎くて憎くてたまらなかった。
けれど、その獰猛な瞳の奥にどうしようもない孤独を見つけたとき、私は生まれて初めてこんなにも──一人の人間が、彼女が欲しいと思ったの。
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「性別の違う自分?」
アーサーはぱちりと瞬きをした。隣に座るアルトリアの顔を見、またマスターの顔を見る。
「そう。君は色んな世界を渡り歩いてるんだろう? そういう事象に詳しくないかなと思って」
ダ・ヴィンチの言葉に、アーサーは困ったように首をかしげた。
Haruto9000
DONE「ランサーのクー・フーリンが女性だったら」妄想、第3話。※FGO第1部のみの情報で書いていたので、設定ズレなどはご容赦ください。
【あらすじ】
スカサハは、女性のクー・フーリンの実力を測るべく、手合わせを行うことにした。
自ら手合わせを行い、さらに、次の相手にバーサーカークラスのクー・フーリンを指名するが…。
ミラーリング #3(カルデア編) 強くなりたい、と彼女は泣いた。
誰よりも強く。男たちにも負けないように強く。
声を震わせて泣く彼女を膝に抱き、その髪をなでながら、私は誓った。
──おまえに私のすべてを授けよう。おまえをアイルランド最強の戦士にしてやる、と。
✳︎✳︎✳︎
「おまえが相手をしろ、バーサーカーのセタンタよ」
スカサハの言葉に、オルタは面倒くさそうに振り向いた。
「……なんで俺が」
「年齢的に、おまえが一番槍のセタンタと近い。加えて、おまえのクラスはバーサーカー。他のクラスを圧倒する力を持つおまえに、槍のセタンタがどれほど挑めるか見てみたい」
ランサーは、あごを引いてオルタを睨みつけた。師匠に「他を圧倒する力を持つ」と言わしめたこの男が気に入らなかった。
5164誰よりも強く。男たちにも負けないように強く。
声を震わせて泣く彼女を膝に抱き、その髪をなでながら、私は誓った。
──おまえに私のすべてを授けよう。おまえをアイルランド最強の戦士にしてやる、と。
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「おまえが相手をしろ、バーサーカーのセタンタよ」
スカサハの言葉に、オルタは面倒くさそうに振り向いた。
「……なんで俺が」
「年齢的に、おまえが一番槍のセタンタと近い。加えて、おまえのクラスはバーサーカー。他のクラスを圧倒する力を持つおまえに、槍のセタンタがどれほど挑めるか見てみたい」
ランサーは、あごを引いてオルタを睨みつけた。師匠に「他を圧倒する力を持つ」と言わしめたこの男が気に入らなかった。
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DONE「ランサーのクー・フーリンが女性だったら」妄想、第2話。※FGO第1部のみの情報で書いていたので、設定ズレなどはご容赦ください。
【あらすじ】
女性のクー・フーリンに戸惑うマスターたち。
カルデアにいる他の英霊たちは誰も"彼女"のことは知らず、ランサークラスのクー・フーリンは意気消沈してしまう。
そんな中、クー・フーリンの師匠であるスカサハが、ひとつの提案をする。
ミラーリング #2(カルデア編) 扉を開ければ、パチパチと炉ばたで燃える温かい火。
焼いたパンと、山羊の乳の匂い。
刺繍の手を止めて、彼女が顔を上げる。
一歩を踏み出せない自分を見つけて、その美しい目が細められる。
椅子から立ち上がり、白くて細い手を差し出しながら彼女は微笑む。
──おかえりなさい、猛犬さん。
***
「どおいうことぉぉぉっっっ!?!?!?」
マスターがすっとんきょうな声を上げた。隣ではマシュが「先輩、落ち着いてください!」と必死になだめている。
マスターたちの前では、召喚されたばかりのランサークラスのクー・フーリンが、戸惑ったように立ち尽くしていた。
かの英雄の象徴ともいうべき赤い槍を両手でぎゅっと握りしめ、不安そうな顔であたりを見回している。
8253焼いたパンと、山羊の乳の匂い。
刺繍の手を止めて、彼女が顔を上げる。
一歩を踏み出せない自分を見つけて、その美しい目が細められる。
椅子から立ち上がり、白くて細い手を差し出しながら彼女は微笑む。
──おかえりなさい、猛犬さん。
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「どおいうことぉぉぉっっっ!?!?!?」
マスターがすっとんきょうな声を上げた。隣ではマシュが「先輩、落ち着いてください!」と必死になだめている。
マスターたちの前では、召喚されたばかりのランサークラスのクー・フーリンが、戸惑ったように立ち尽くしていた。
かの英雄の象徴ともいうべき赤い槍を両手でぎゅっと握りしめ、不安そうな顔であたりを見回している。
Haruto9000
DONE2017年から書いていた「クー・フーリンが女性だったら」妄想をこっちにも載せます。いずれオル槍に至る予定。※FGO第1部のみの情報で書いていたので、設定ズレなどはご容赦ください。
【あらすじ】
マスター(ぐだ子)は、ランサークラスの英霊召喚を試みる。
現れたのは、ケルトの英雄クー・フーリン。
ところが、カルデアにいるクー・フーリンたちと違い、新たにやってきた英雄は"女性"で…!?
ミラーリング #1(カルデア編) じゃら、とマスターの手に抱えられた聖晶石が音を立てる。
「じゃあ、いくよ、マシュ」
「はい、先輩!」
そばでは、祈るように両手を組んだマシュが固唾を飲んで見守っている。
「今度こそ……今度こそ麻婆豆腐以外のものを召喚するからね」
「はい、先輩!」
「毎日毎日フリクエを回って……長かった……ようやくここまで……」
「はい、先輩! 今度こそ、きっと大丈夫です! 英霊のどなたかが、先輩の呼びかけに応えてくれますよ!」
「やっと集めたこの血と汗と涙の結晶……頼むよ! おりゃ!」
マスターは、虹色にきらめく石を召喚サークルに投げ入れた。
くあ、とオルタナティブのクー・フーリンはあくびをした。
血走った目で「石を集める」と言ったマスターに付き添い、数時間前までレイシフト先でひたすら獲物を狩っていたのだ。帰ってきてからはずっと寝ていたのだが、まだ眠い。
1808「じゃあ、いくよ、マシュ」
「はい、先輩!」
そばでは、祈るように両手を組んだマシュが固唾を飲んで見守っている。
「今度こそ……今度こそ麻婆豆腐以外のものを召喚するからね」
「はい、先輩!」
「毎日毎日フリクエを回って……長かった……ようやくここまで……」
「はい、先輩! 今度こそ、きっと大丈夫です! 英霊のどなたかが、先輩の呼びかけに応えてくれますよ!」
「やっと集めたこの血と汗と涙の結晶……頼むよ! おりゃ!」
マスターは、虹色にきらめく石を召喚サークルに投げ入れた。
くあ、とオルタナティブのクー・フーリンはあくびをした。
血走った目で「石を集める」と言ったマスターに付き添い、数時間前までレイシフト先でひたすら獲物を狩っていたのだ。帰ってきてからはずっと寝ていたのだが、まだ眠い。