avinyn_m
DONEサブハク/レクハク4
タイトル未定4緑のパーカーが遠目に見えた時点で、サブローの足と鼓動は自然と速くなる。ワクワクと浮き足立ってしまう。今日は昨夜から体調が悪いので、ナメクジのようにノタノタした動きだが、心だけはワンコのように一目散に駆け出している。
ハックは大切な友人だ。ダークサクリファイズの陰謀渦巻くこの世界で、唯一信じられる、前世からの友達だ。今はダークサクリファイズの手先、秘密結社ヤルミナティーに洗脳されている。しかし、サブローとこうしてお昼を供にするようになったので、地道に洗脳を解除できているのだろう。ハックが完全に悪の手から解放されるまで、あと少しの辛抱だ。ハックさえ取り戻せた暁には、ヤルミナティー、貴様らの命はない!
サブローがハックの元に辿り着くまで、脳内では壮大なストーリーが始まり、早送りでエンディングを迎えていた。
2351ハックは大切な友人だ。ダークサクリファイズの陰謀渦巻くこの世界で、唯一信じられる、前世からの友達だ。今はダークサクリファイズの手先、秘密結社ヤルミナティーに洗脳されている。しかし、サブローとこうしてお昼を供にするようになったので、地道に洗脳を解除できているのだろう。ハックが完全に悪の手から解放されるまで、あと少しの辛抱だ。ハックさえ取り戻せた暁には、ヤルミナティー、貴様らの命はない!
サブローがハックの元に辿り着くまで、脳内では壮大なストーリーが始まり、早送りでエンディングを迎えていた。
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DONEサブハク/レクハク3
タイトル未定3夜の帳が下ろされ、真っ青な満月が淡い光を放つ。左腕が共鳴するように疼く。黒龍が唸りをあげる。今宵は満月の力がもっとも強まる夜、サファイア・ダークナイトであるからだ。堕天勇者レクイエムに封印された黒龍は闇に息づき、光りを嫌う存在である。しかし今日だけは、燦燦と煌めくサファイア・ブルーに照らされ、レクイエムの左腕は覚醒する。
「レクイエム」
「! ……ハックか」
「左腕の調子はどうっすか」
影のように音もなく現れたのは、レクイエムの盟友、ハックであった。常に虚空を見つめる空虚なブラックダイアモンドの瞳は、蒼穹に輝く。ハックの整った顔立ちは、右半分が影に覆われ、左半分が明るく照らされている。静寂と孤独に愛された夜だが、ハックの存在だけは苦にならなかった。レクイエムの半身と呼んで差し支えない存在だからだろう。
3409「レクイエム」
「! ……ハックか」
「左腕の調子はどうっすか」
影のように音もなく現れたのは、レクイエムの盟友、ハックであった。常に虚空を見つめる空虚なブラックダイアモンドの瞳は、蒼穹に輝く。ハックの整った顔立ちは、右半分が影に覆われ、左半分が明るく照らされている。静寂と孤独に愛された夜だが、ハックの存在だけは苦にならなかった。レクイエムの半身と呼んで差し支えない存在だからだろう。
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DONEサブハク/レクハク続きタイトル未定2昨日の晴天が嘘だったような土砂降りだ。キリンは頬杖つき、うんざりしていた。
「これじゃ、外に食べに行くのは無理だな。ハック、部室で食うから、コンビニで何か買ってきてくれ」
「自分で行ってくださいっす」
「俺様、プリン」
「自分で行ってくださいっす」
ハックは今日も今日とて、後輩使いの荒い先輩にこき使われていた。ハックはこうなることを予期してちゃんと通学途中で昼飯を購入していたというのに。どうして後先考えない無計画な先輩の尻拭いをしなければならないのか。胸中は不満でいっぱいだが、「先輩命令な。腹減ったままだと調査もクソもねぇし、今日は解散かなぁ~」という横暴な先輩に根負けすることになった。日本の年功序列は悪弊だと思う。ハックはブチブチ言いながら傘を取った。
3336「これじゃ、外に食べに行くのは無理だな。ハック、部室で食うから、コンビニで何か買ってきてくれ」
「自分で行ってくださいっす」
「俺様、プリン」
「自分で行ってくださいっす」
ハックは今日も今日とて、後輩使いの荒い先輩にこき使われていた。ハックはこうなることを予期してちゃんと通学途中で昼飯を購入していたというのに。どうして後先考えない無計画な先輩の尻拭いをしなければならないのか。胸中は不満でいっぱいだが、「先輩命令な。腹減ったままだと調査もクソもねぇし、今日は解散かなぁ~」という横暴な先輩に根負けすることになった。日本の年功序列は悪弊だと思う。ハックはブチブチ言いながら傘を取った。
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DONEサブハク/レクハクお弁当を通じて次第に仲良くなっていく二人
タイトル未定 1いつもは昼時になると部室になんとなく全員が集まり、適当にどこかで食べに行こうという話になるのだが。今日はキリンもタブーも登校は昼からというので、ハックはひとりぼっちの昼食だった。ヤルミナ部室で食べようと弁当を作ってきたのだが、今日は突き抜けるような晴天だ。陰キャ引きこもり根暗オタクのハックにしては珍しく、今日は外で食べようか、と気紛れを起こした。
大人しく部室にいればよかった。そう思ったのは、理工学部棟校舎裏のベンチに座り、弁当の包みを膝に広げた時だった。陽当たりがさほど良くなく、視界にあるのも代わり映えのない木々と茂みという殺風景な場所だったので、密かに自分だけの特等席として重宝していたのだが、陰の友達は陰、彼もここを愛用していたようだ。思いがけない出会いに彼は「ハック!」と全身で驚きを表し、嬉しそうに三歩駆け寄り、ハッと我に返り、キザッたらしくポーズを決めて近付いてきた。
3383大人しく部室にいればよかった。そう思ったのは、理工学部棟校舎裏のベンチに座り、弁当の包みを膝に広げた時だった。陽当たりがさほど良くなく、視界にあるのも代わり映えのない木々と茂みという殺風景な場所だったので、密かに自分だけの特等席として重宝していたのだが、陰の友達は陰、彼もここを愛用していたようだ。思いがけない出会いに彼は「ハック!」と全身で驚きを表し、嬉しそうに三歩駆け寄り、ハッと我に返り、キザッたらしくポーズを決めて近付いてきた。